すべての花へそして君へ①


 ――ほぼ体当たり。くっついていた体を一瞬離して、彼の体ごと、ベッドに横たわる。


「わあ~い。わたしの勝ちー」

「(オレ、今までこいつに何回押し倒されたろう……)」

「お、重い……?」

「ん? ……ううん。重くないよ」


 完全にヒナタくんの上に跨がっているんだけれど、やさしく笑うヒナタくんに手を引かれ体を倒し、そっと彼の胸に耳を寄せた。


「……あ。ドキドキしてる」

「そりゃ不意打ち食らわされた挙げ句、襲ってこられたんだから怖いに決まってるじゃん」

「えっ!? ご、ごめんっ」

「うーそ。冗談に決まってるでしょ?」

「……そっか。へへ」


 そうやって笑って、また彼の胸の上に戻る。
 回された腕の力が、強くもなくて、弱くもなくて。心地が良い力強さに。耳に届く心地の良い鼓動に。居心地が良い場所に、嬉しくなって頬を緩ませながらわたしは、そっと。……瞼を閉じた。


 ピトッ。


「ん……?」


 とっても気持ちがよかったのに、頬に冷たい何かが押しつけられた。一体なんだろうと思って、少し重たくなった瞼をこじ開けると。


「……よじ。よんじゅうよんふん……?」


 なんだ。ぞろ目を見せたかったのか。ヒナタくん、こんな子どもっぽいところがあるんだ。かわいい。もっともっと、これからいろんなヒナタくんを見つけ――


「……え」


 そういえば、このパターン前もあったぞ。
 その時は画像に気を取られたけど、彼はその時、時間を見せてきていた。……そのお仕置きに至っては、いっぱい触られちゃったから、それで満足したのかな……って思うことにして。

 現在の時刻、4時44分。あ、45分。6時にコズエ先生と離れのロビーで待ち合わせだ。あと一時間ちょっとしかないけど、カエデさんの地図があるからすぐに着くと思う。もう少しだけ、ゆっくりできそうだ。

 ―――けれど。今回問題なのは時刻ではない。


「ひ、ひなた、くん。これは……」

「それは、オレの方が聞きたいんだけどね?」


 今回ばかりは画像で正解。いや、何故待ち受けに設定してるんだ……。


「これ。どういうことかな? あおいちゃん」


 彼の待ち受け画面。そこには、よくよく見知った人物がいた。