――ほぼ体当たり。くっついていた体を一瞬離して、彼の体ごと、ベッドに横たわる。
「わあ~い。わたしの勝ちー」
「(オレ、今までこいつに何回押し倒されたろう……)」
「お、重い……?」
「ん? ……ううん。重くないよ」
完全にヒナタくんの上に跨がっているんだけれど、やさしく笑うヒナタくんに手を引かれ体を倒し、そっと彼の胸に耳を寄せた。
「……あ。ドキドキしてる」
「そりゃ不意打ち食らわされた挙げ句、襲ってこられたんだから怖いに決まってるじゃん」
「えっ!? ご、ごめんっ」
「うーそ。冗談に決まってるでしょ?」
「……そっか。へへ」
そうやって笑って、また彼の胸の上に戻る。
回された腕の力が、強くもなくて、弱くもなくて。心地が良い力強さに。耳に届く心地の良い鼓動に。居心地が良い場所に、嬉しくなって頬を緩ませながらわたしは、そっと。……瞼を閉じた。
ピトッ。
「ん……?」
とっても気持ちがよかったのに、頬に冷たい何かが押しつけられた。一体なんだろうと思って、少し重たくなった瞼をこじ開けると。
「……よじ。よんじゅうよんふん……?」
なんだ。ぞろ目を見せたかったのか。ヒナタくん、こんな子どもっぽいところがあるんだ。かわいい。もっともっと、これからいろんなヒナタくんを見つけ――
「……え」
そういえば、このパターン前もあったぞ。
その時は画像に気を取られたけど、彼はその時、時間を見せてきていた。……そのお仕置きに至っては、いっぱい触られちゃったから、それで満足したのかな……って思うことにして。
現在の時刻、4時44分。あ、45分。6時にコズエ先生と離れのロビーで待ち合わせだ。あと一時間ちょっとしかないけど、カエデさんの地図があるからすぐに着くと思う。もう少しだけ、ゆっくりできそうだ。
―――けれど。今回問題なのは時刻ではない。
「ひ、ひなた、くん。これは……」
「それは、オレの方が聞きたいんだけどね?」
今回ばかりは画像で正解。いや、何故待ち受けに設定してるんだ……。
「これ。どういうことかな? あおいちゃん」
彼の待ち受け画面。そこには、よくよく見知った人物がいた。



