すべての花へそして君へ①


「と、取り敢えずわたし、こんな奴なんです」

「……オレに言ったのに。こんなって言うなって」

「い、いや。でも、こればっかりは……」


 実はあんまり描かれてないけど、結構オタクというかなんというか……。


「……気にしてるの?」

「気にしないわけない」

「知らないと思ってた? いやいや、レ◯レのおじさん貯金箱見たから。お◯松◯んの録画し忘れたことも知ってるから」

「え……」

「おいコラ。引くな」

「……いいの?」

「いいも何も、好きなんでしょ?」

「……うん」

「そういうのが好きになったのも、元はと言えばオレのせいでしょ?」

「え?」


 見せてくれたのは確かにシントだけど……。


「確かにシントさんにも感謝してる。オレはあんたに謝らないといけないけどね」

「謝って欲しいとか、思ってない」

「悲しい寂しいつらい思いさせちゃったから」

「……ひなたくん」

「だから、……オレはもう離れないよ。絶対」


 後頭部に彼の頭がコツンと当たる。それさえもやさしくて。ちょっとかわいくて。


「……うんっ。もちろん。わたしもだよ」


 体を捻って。そっと、背もたれに掛かる彼の手に触れた。


「言ったでしょ? どんなあおいでも、って」

「へへ。うんっ」

「だから、……楽しそうなら嬉しいよ」

「じゃあ今度いろいろ教えてあげるね?」

「まあ、程々にね」


 ブラッシングも終えたのか、指で髪を梳く彼の瞳は、慈愛に満ちている気がした。その表情がやっぱり大人っぽくって、黒色効果にまた心臓さんがオーバーワークし始める始末。効果絶大ですな。


「あとちょっとしかないけど……少しでも寝といた方がいいね」

「ううん。ほんとにあとちょっとしかないし、今寝ちゃったら起きられるか心配だよ」

「……オレ的にはちょっとでも寝て欲しいけど」

「そこまで心配しなくても大丈夫だよ? 体はもうとっても丈夫なので。……それに」

「ん?」


 触れているだけだった手をそっと重ねて。……でも、恥ずかしくて彼の方は見上げられなかったからそのままで。


「……今、寝ちゃったらとっても勿体ないと、思うから」

「……」


 もちろん、彼が眠たいなら無理にとは言わないんだけど。……でも、やっぱりわたしは。


「朝まで、一緒にいたい……です」