「と、取り敢えずわたし、こんな奴なんです」
「……オレに言ったのに。こんなって言うなって」
「い、いや。でも、こればっかりは……」
実はあんまり描かれてないけど、結構オタクというかなんというか……。
「……気にしてるの?」
「気にしないわけない」
「知らないと思ってた? いやいや、レ◯レのおじさん貯金箱見たから。お◯松◯んの録画し忘れたことも知ってるから」
「え……」
「おいコラ。引くな」
「……いいの?」
「いいも何も、好きなんでしょ?」
「……うん」
「そういうのが好きになったのも、元はと言えばオレのせいでしょ?」
「え?」
見せてくれたのは確かにシントだけど……。
「確かにシントさんにも感謝してる。オレはあんたに謝らないといけないけどね」
「謝って欲しいとか、思ってない」
「悲しい寂しいつらい思いさせちゃったから」
「……ひなたくん」
「だから、……オレはもう離れないよ。絶対」
後頭部に彼の頭がコツンと当たる。それさえもやさしくて。ちょっとかわいくて。
「……うんっ。もちろん。わたしもだよ」
体を捻って。そっと、背もたれに掛かる彼の手に触れた。
「言ったでしょ? どんなあおいでも、って」
「へへ。うんっ」
「だから、……楽しそうなら嬉しいよ」
「じゃあ今度いろいろ教えてあげるね?」
「まあ、程々にね」
ブラッシングも終えたのか、指で髪を梳く彼の瞳は、慈愛に満ちている気がした。その表情がやっぱり大人っぽくって、黒色効果にまた心臓さんがオーバーワークし始める始末。効果絶大ですな。
「あとちょっとしかないけど……少しでも寝といた方がいいね」
「ううん。ほんとにあとちょっとしかないし、今寝ちゃったら起きられるか心配だよ」
「……オレ的にはちょっとでも寝て欲しいけど」
「そこまで心配しなくても大丈夫だよ? 体はもうとっても丈夫なので。……それに」
「ん?」
触れているだけだった手をそっと重ねて。……でも、恥ずかしくて彼の方は見上げられなかったからそのままで。
「……今、寝ちゃったらとっても勿体ないと、思うから」
「……」
もちろん、彼が眠たいなら無理にとは言わないんだけど。……でも、やっぱりわたしは。
「朝まで、一緒にいたい……です」



