「……ヒナタくんは、そんなことを考えてたんですか」
「こんなこと、あんたと会ってからしょっちゅう思ってるけどね」
「……もうちょっと違うこと、言われると思ったんだもん」
空いた片手で膝の小石を払いながら、ボソッと小言を言うと「幻滅した?」と聞こえた気がした。
「……え?」
「だから、……幻滅した? オレのこと」
「するわけない」
「……そっか」
「思ってたのとは違ったけど」
「……けど?」
「……ちょっと、面白かったから。いい」
「……全部本気でも?」
「え? 本気……というか、その通りだし。間違ったこと言ってないから、よくわかってるなーと思って」
「そ、そう……」
流石に、傷付くことはない。心はね? 青痣はすごいできるかも知れないけど。悪口……ってさっき言ったのはもちろん冗談だし、ヒナタくんが言ってたことは、もはや事実だし。
ご指摘頂いて逆に感謝だコノヤロウ。性格と習性を改めないといけないとは思うけど、こんなことでへこたれてるようじゃ、ご主人様にはお仕えできませんからね。
「だから、考えてたことがわたしのことでいっぱいだったから、それだけで嬉しい」
ものすごい愛情表現だな、とは思うけど。
でも、それくらい彼は本当に不器用さんだから。こんなもんなら、そのうち練習すればきっと変換できるはず。手だって、君のためなら千本生やしてやるんだから。それに……。
「『オレも一緒』って、言ってくれたから」
真っ直ぐな言葉がなくても。その言葉ひとつあれば、彼の色んなところで『好き』が見つかるはずだから。
わたしが、それを見つければいい。それを、見逃さないようにすればいいんだ。
(……ふふっ)
そんなのもう、最高に幸せじゃないか。



