すべての花へそして君へ①


「……ヒナタくんは、そんなことを考えてたんですか」

「こんなこと、あんたと会ってからしょっちゅう思ってるけどね」

「……もうちょっと違うこと、言われると思ったんだもん」


 空いた片手で膝の小石を払いながら、ボソッと小言を言うと「幻滅した?」と聞こえた気がした。


「……え?」

「だから、……幻滅した? オレのこと」

「するわけない」

「……そっか」

「思ってたのとは違ったけど」

「……けど?」

「……ちょっと、面白かったから。いい」

「……全部本気でも?」

「え? 本気……というか、その通りだし。間違ったこと言ってないから、よくわかってるなーと思って」

「そ、そう……」


 流石に、傷付くことはない。心はね? 青痣はすごいできるかも知れないけど。悪口……ってさっき言ったのはもちろん冗談だし、ヒナタくんが言ってたことは、もはや事実だし。
 ご指摘頂いて逆に感謝だコノヤロウ。性格と習性を改めないといけないとは思うけど、こんなことでへこたれてるようじゃ、ご主人様にはお仕えできませんからね。


「だから、考えてたことがわたしのことでいっぱいだったから、それだけで嬉しい」


 ものすごい愛情表現だな、とは思うけど。
 でも、それくらい彼は本当に不器用さんだから。こんなもんなら、そのうち練習すればきっと変換できるはず。手だって、君のためなら千本生やしてやるんだから。それに……。


「『オレも一緒』って、言ってくれたから」


 真っ直ぐな言葉がなくても。その言葉ひとつあれば、彼の色んなところで『好き』が見つかるはずだから。
 わたしが、それを見つければいい。それを、見逃さないようにすればいいんだ。


(……ふふっ)


 そんなのもう、最高に幸せじゃないか。