こんな、緩い会話ができることも。ヒナタくんが素直にそう言ってくれることも。……なんだか嬉しくって、頬が緩んでしまう。
「わたしも。ヒナタくんがいなくて寂しかった」
「え。……なに。そんなに一緒に入りたかったんなら言ってくれれば」
「ち、ちがうからっ! 髪染めてたの知らなくて、ヒナタくんの姿が見えないだけで不安だった」
「……そっか」
「だからね? わたしも一緒。だからね? 今すごく嬉しいんだ」
「……うん。オレもだよ」
見上げたそこには、少しだけ熱っぽい瞳の彼がいて。ゆっくりと近づいてくる唇に、わたしはそっと、目を閉じた。
………………ん?
「んっ。ひなたく、どこ触っ」
言葉を紡ごうとしても、上から噛みつかれるように塞がれるし、抵抗しようにも彼の片腕の力が一向に緩まない。そして、もう片方の手が背中を伝い、どんどん下がってきていて……。
「……ぷるんぷるん」
「うぎゃー!! 感想は言わなくていいっ!!」
「……ふわふわ?」
「言い直さなくていいっ!!」
「小尻だね」
「やめてー!!!!」
思う存分楽しまれてしまった▼
「ははっ。……怒った?」
「……えっち」
「裸族よりはマシだと思うけど」
「シャワーを裸で浴びないんですかあなたは!」
「あおいから飛びついてきたんでしょ? 裸で」
「飛びつく予定ではなかったけどね!?」
「飛びついてくると思ったけどね、オレは」
だから、準備万端だったでしょ? と。何故か得意げなんですけど。
「じゃないと今頃オレに裸見られてたよ?」
「……ありがとうございますう」
「いいえ? それじゃあ再開しても?」
「……ちょっと。遠慮しますう」
「そっか。それは残念」
全然残念そうでない彼の顔には『ちょっと満足です』って書いてあるような気がした。
キュッキュッと毛先の滴を拭いてくれたあと、ニッコリ嬉しそうに笑いながら、彼はようやく脱衣所を出て行ってくれました。
ガチャンッ。
堪らず鍵を閉めた。
ガチャ。……ガチャガチャ。
コン。コンコン。
ドンドンドンドン。
ちょっと、怖かった。
でも、鍵は閉めてよかったって、体全体で思いました。(まる)
「……はあ」
その閉めた扉に背をつけ、大きくため息を零す。
「……ぅゎっ」
堪らず出た声をきっかけに、ブワッと全身が熱くなった。
(わああああ)
思わず自分の体を抱き締めた。立っていられずに、そのままズルズルとへたり込む。
熱い。赤い。……ものすっごい恥ずかしいっ!!
(……裸で、抱き締められてしまった)
タオルあったけど。
(は、裸で。ちゅーしてしまった)
タオルあったけどっ!
「……さ」
さわられ、ちゃった。おしり。タオル越しだけど。
……しかも、い。いやじゃ……なかった、とか。
(地球の裏側まで穴掘って埋まりたいいぃぃっ!!!!)



