すべての花へそして君へ①


「……もしかして。あおば、さん……?」


 部屋に来てくれた三人の中に、昔の面影が十分残っている人がいた。


「……! ええ。あおいちゃんっ」

「――!! っ、あおばさんっ!」


 ふわっと、やさしい笑顔の彼女に、思わず抱きついてしまった。
 言いたかったんだ。ずっと……。彼女にも。


「あおばさん。いろいろ。ごめんなさい」

「……? あおいちゃん?」

「あの時。わた、わたし。勘違い。して」

「……ううん。わたしも。ごめんね」


 彼から聞いていたんだ。彼女は、道明寺の家政婦をしていたんだと。


「わたしのこと。見ていてくれて。ありがと……」

「……! ええ。元気になれて。よかったわ」


 抱き合って、二人でほんの少し涙を流した。よかった。本当に……よかった。


「遅くにごめんなさいね、あおいちゃん。明日も早いんだけれど」

「あんたに朗報だよ」

「え?」

「そうなの。あおいちゃんっ」


 そして、喜びを噛み締めていたわたしの耳に届いたのは、囚われていたわたしの罪を、軽くしてくれるものだった。