「今ね? わたしってこんなに不器用だったかなって思ってたんだ」
「え。……いや、全然不器用じゃないでしょ」
「ヒナタくんだから、わたしもそうなっちゃうんだ」
「……」
「ヒナタくんが、さっき照れながら教えてくれたから、わかっちゃった」
「……一言余計」
「……ふふっ」
どうやら、照れていたこと自体は否定しないみたい。それはそれでだいぶ素直になったなーって、ちょっと嬉しいけど。
「しょうがないさ。どうしたって、わたしはヒナタくんが大好きなんだから」
わたしが今までしてしまったこと。もしかたら、みんななら許してくれるかも知れないって。そう思っていた。
みんなが。みんなの家族が。わたしに関わった人たちが。やさしすぎるのは、ちゃんと知ってた。でも、どうしても言いたくなんてなかったんだ。
わたしの大好きな人たちに、嫌われたくなかったから。
「ヒナタくんにはわたし、絶対に嫌われたくないんだ」
――嫌われる。それだけじゃなくて、呆れられることも然り。悲しませることも、怖がらせてしまうことも然りだ。
とっくに、わたしの中に答えはあったんだ。それに、全然わたしが気が付かなかっただけ。ほんと、自分のこととなると全然勘が働かないんだから困ったものだ。
(……『オレも一緒』って、そう言ってた)
ヒナタくんも、わたしに嫌われたくないんだ。だから怖いんだ。嫌いになんて、なれって言われても絶対なれないのに。
でも、それで一個わかったことがある。要は『変換』。
(わたしもそうだけど、もしヒナタくんがわたしのことで困ってたり、怖がってたりしてたら……)
それだけ、わたしを好きでいてくれてるってことだ。嫌われたくないから、悩んだりするんだもん。
言葉で『好き』って言われるのも嬉しい。
「考えてたこと、……なんだけどさ」
「……うんっ」
でも、こうやってわたしのことを考えてくれていること。わたしのためを、思ってくれたこと。
「……大したことじゃ、ないけど」
「そんなことないよ。……教えてくれますか?」
「……うん」
たとえ言葉はなくても。それも言わば『好き』じゃないかな。言葉にできない想いって、こういうことをいうのかも知れない。
その行動とか、想いとか、考えとか。それ自体がもう、『好き』から来てることなんだから。



