すべての花へそして君へ①


「今ね? わたしってこんなに不器用だったかなって思ってたんだ」

「え。……いや、全然不器用じゃないでしょ」

「ヒナタくんだから、わたしもそうなっちゃうんだ」

「……」

「ヒナタくんが、さっき照れながら教えてくれたから、わかっちゃった」

「……一言余計」

「……ふふっ」


 どうやら、照れていたこと自体は否定しないみたい。それはそれでだいぶ素直になったなーって、ちょっと嬉しいけど。


「しょうがないさ。どうしたって、わたしはヒナタくんが大好きなんだから」


 わたしが今までしてしまったこと。もしかたら、みんななら許してくれるかも知れないって。そう思っていた。
 みんなが。みんなの家族が。わたしに関わった人たちが。やさしすぎるのは、ちゃんと知ってた。でも、どうしても言いたくなんてなかったんだ。

 わたしの大好きな人たちに、嫌われたくなかったから。


「ヒナタくんにはわたし、絶対に嫌われたくないんだ」


 ――嫌われる。それだけじゃなくて、呆れられることも然り。悲しませることも、怖がらせてしまうことも然りだ。
 とっくに、わたしの中に答えはあったんだ。それに、全然わたしが気が付かなかっただけ。ほんと、自分のこととなると全然勘が働かないんだから困ったものだ。


(……『オレも一緒』って、そう言ってた)


 ヒナタくんも、わたしに嫌われたくないんだ。だから怖いんだ。嫌いになんて、なれって言われても絶対なれないのに。
 でも、それで一個わかったことがある。要は『変換』。


(わたしもそうだけど、もしヒナタくんがわたしのことで困ってたり、怖がってたりしてたら……)


 それだけ、わたしを好きでいてくれてるってことだ。嫌われたくないから、悩んだりするんだもん。
 言葉で『好き』って言われるのも嬉しい。


「考えてたこと、……なんだけどさ」

「……うんっ」


 でも、こうやってわたしのことを考えてくれていること。わたしのためを、思ってくれたこと。


「……大したことじゃ、ないけど」

「そんなことないよ。……教えてくれますか?」

「……うん」


 たとえ言葉はなくても。それも言わば『好き』じゃないかな。言葉にできない想いって、こういうことをいうのかも知れない。
 その行動とか、想いとか、考えとか。それ自体がもう、『好き』から来てることなんだから。