「ううぅ……」
あのあと、なんとか涙も治まりまして。続きがあったので、それをシントに話してました。
『シント、ごめんね。いろいろあれからあったからさ。誕生日プレゼント準備できなかったんだ』
『いろいろ……って、そりゃしょうがないって。俺はこれで十分だよ』
そう言って見せてくれるのは、チ〇ルチョコと左腕に巻いたリボンと感謝状パート2。本当に、嬉しそうな幸せそうな顔をして言うもんだから、こちらまで嬉しくなってしまったんだけれど……。
『ダメダメ! わたしがちゃんとシントにあげたいんだ。それから、今までの感謝も込めて!』
ビシッと手の平を前に突き出しストップをかけるけれど、やっぱりシントは『別にいいのに』って言う。
『だったら、何かして欲しいことない? シントには今までたくさんお世話になったからお返しがしたいんだけ――』
『だったら結婚してよっ!』
『いや、そもそも何もかもぶっ飛ばして先に結婚を申し込む辺りシントらしいっちゃらしいけどね』
『だめ?』
『かわいく言ってもダメに決まってるでしょ!?』
何をこの子は言っているんだと思いました。自分のおバカが移ったのかなとも思いましたけど。
『じゃあデートしてよ! それでチャラ』
『え。いや、ダメでしょ』
『どうして? 俺は葵に聞いてるんだよ? ……今彼のことは脳内から消して』
『ま、真顔で言ってこないでください』
『葵は俺とデートしたくない? 俺のしたいことしてくれるって言ったのに? 葵は……そんな子だったのかっ』
(……え。これってわたしが悪いんですか? こういう場合って普通断りません?)
そのあと、こういうことに関してとっても不得意なもので。あーだこーだと、結局のところシントに言いくるめられてしまいました。
「い、一旦は保留ってことでなんとか落ち着いたけど。やっぱり頭が良い分、言葉巧みに次から次へと畳みかけるように言ってこられると、ちょっとばかし対応に困るよね」
シントには言ってはなかったけれど、やっぱり彼が嫌がることはしたくないんだ。なので、きちんと相談しようと思います。デートではなくて、お誕生日プレゼントをしに遊びに行きたいんだと。
正直このまま言ったら絶対「はあ?」って言われるだろうね。怒るとか以前に、まずは日本語がおかしいから。言葉をよく選びたいと思いますっ。
まあ、そのあとシントに『じゃあ一緒に寝よ?』とか言われた時は、流石にベッドに向かって一本背負いをかましてやりましたけどね。とても気持ちがよかったです。



