すべての花へそして君へ①


「ありがとな、アオイ」

「……?」

「あいつのこと、わかってやってくれて」

「……。うん」

「学校じゃあ、クールだなんだ言われてっけど、ただ人と関わりたくねえんだよ、あいつは」

「……。うん」

「あいつの世界は、オレらだけだったからな。でもお前がいるとさ、やっぱりちょっと違うんだよ。あんなんだけどさ、あいつ、めっちゃいい奴なんだ」

「……。うん、知ってる」

「……オレは、何回も支えてもらった。何回も、助けてもらった。オレは、……あいつには何もしてやれなかったけど」

「そんなことないよ!」

「わかってる。大丈夫だ。そこまでオレは卑屈じゃねえよ」

「……ちかくん」


 ただな。あいつもこいつと一緒で、オレらに嫌われると思ったから何も言わなかったんだろ? 好かれてんだなーと思うけど、やっぱちょい寂しいんだよな。


「だからな、これからはなんかあったら支えてやりたいんだ」

「……。うん」

「助けてやりてえ。……でもそれは、ついでだ」

「え?」


 そうしたい奴らは、ずっと一緒にいるんだろうから。


「アオイ。お前のこと、オレがちゃんと支えて助けてやるから。そしたらあいつも、ついでに助かるような場所にいるだろうし」

「……ちかくん」


 ずっと一緒にいるんだろう。あいつが、アオイを放すわけないからな。


「……あ」

「ん? どうしたの?」

「いや、これからも面倒臭い性格だったらの可能性を考えてなかった」

「え?」

「アオイ。あいつは、お前に関してはものす……っごい貪欲だけどよ、ものす……っごいビビりなんだよ」

「溜めたねえ」

「いや真面目な話。だから、いろいろ気を付けてやってくれ。お前が離れようもんなら、あいつ普通に死にそうだから」

「そ、それはマズいね! 離れないっ!」


 ひょこっと。こちらへ顔を出したアオイがかわいくて、勝手に頬が緩んだ。


「オレは、お前の方がウサギみたいだと思うけど?」

「え。わたしそんなにかわいくない」

「真顔で返されたら、どうやって返せばいいんだよ」

「? そうだねって言えばいいんだよ?」

「言えるかっ」