「ありがとな、アオイ」
「……?」
「あいつのこと、わかってやってくれて」
「……。うん」
「学校じゃあ、クールだなんだ言われてっけど、ただ人と関わりたくねえんだよ、あいつは」
「……。うん」
「あいつの世界は、オレらだけだったからな。でもお前がいるとさ、やっぱりちょっと違うんだよ。あんなんだけどさ、あいつ、めっちゃいい奴なんだ」
「……。うん、知ってる」
「……オレは、何回も支えてもらった。何回も、助けてもらった。オレは、……あいつには何もしてやれなかったけど」
「そんなことないよ!」
「わかってる。大丈夫だ。そこまでオレは卑屈じゃねえよ」
「……ちかくん」
ただな。あいつもこいつと一緒で、オレらに嫌われると思ったから何も言わなかったんだろ? 好かれてんだなーと思うけど、やっぱちょい寂しいんだよな。
「だからな、これからはなんかあったら支えてやりたいんだ」
「……。うん」
「助けてやりてえ。……でもそれは、ついでだ」
「え?」
そうしたい奴らは、ずっと一緒にいるんだろうから。
「アオイ。お前のこと、オレがちゃんと支えて助けてやるから。そしたらあいつも、ついでに助かるような場所にいるだろうし」
「……ちかくん」
ずっと一緒にいるんだろう。あいつが、アオイを放すわけないからな。
「……あ」
「ん? どうしたの?」
「いや、これからも面倒臭い性格だったらの可能性を考えてなかった」
「え?」
「アオイ。あいつは、お前に関してはものす……っごい貪欲だけどよ、ものす……っごいビビりなんだよ」
「溜めたねえ」
「いや真面目な話。だから、いろいろ気を付けてやってくれ。お前が離れようもんなら、あいつ普通に死にそうだから」
「そ、それはマズいね! 離れないっ!」
ひょこっと。こちらへ顔を出したアオイがかわいくて、勝手に頬が緩んだ。
「オレは、お前の方がウサギみたいだと思うけど?」
「え。わたしそんなにかわいくない」
「真顔で返されたら、どうやって返せばいいんだよ」
「? そうだねって言えばいいんだよ?」
「言えるかっ」



