あんなにも、嫌な気持ちがぐるぐるしてたのに。今は、やさしい気持ちでいっぱいだ。……やっぱりすごいや。あーちゃんは。
「やっぱりいいな。あーちゃんは」
「……おうりくん」
いろんなものが込み上げた。でもそれは、とてもやさしいものばかりだ。きっと、……彼女のおかげ。
「おれはまだ。あーちゃんがすき」
「……うん」
「初めて会った時から。もっともっと。好きになったよ。声が出るようになってからよりも。ずーっと好き」
「……うん」
だから……最後に一度だけ言おう。彼女の答えは……もう、なんとなくわかるけど。
「おれは。あーちゃんが。……っ、大好き。ですっ!」
「……うんっ。ありがと! わたしも、とってもかわいいオウリくんが、持って帰りたいくらい、大好きですっ」
わかってた。彼女は絶対に『ごめん』って言葉を選ばないことを。もしおれでも、……そうしてたと思うから。
「ひーくんに何かされたら、おれがクロスチョップをおみまいしてあげるからね! おれは……。あーちゃんのヒーローだもんっ」
「おお! とっても心強い! その時は、よろしくお願いしようかな?」
誰よりもやさしい彼女は、返事さえも……あったかかった。
「……また、泣いちゃったね」
「?」
ただ、おれの涙を拭ってくれる彼女が、なんでそんなことを言ったのかまでは、……わからなかった。



