すべての花へそして君へ①


 あんなにも、嫌な気持ちがぐるぐるしてたのに。今は、やさしい気持ちでいっぱいだ。……やっぱりすごいや。あーちゃんは。


「やっぱりいいな。あーちゃんは」

「……おうりくん」


 いろんなものが込み上げた。でもそれは、とてもやさしいものばかりだ。きっと、……彼女のおかげ。


「おれはまだ。あーちゃんがすき」

「……うん」

「初めて会った時から。もっともっと。好きになったよ。声が出るようになってからよりも。ずーっと好き」

「……うん」


 だから……最後に一度だけ言おう。彼女の答えは……もう、なんとなくわかるけど。


「おれは。あーちゃんが。……っ、大好き。ですっ!」

「……うんっ。ありがと! わたしも、とってもかわいいオウリくんが、持って帰りたいくらい、大好きですっ」


 わかってた。彼女は絶対に『ごめん』って言葉を選ばないことを。もしおれでも、……そうしてたと思うから。


「ひーくんに何かされたら、おれがクロスチョップをおみまいしてあげるからね! おれは……。あーちゃんのヒーローだもんっ」

「おお! とっても心強い! その時は、よろしくお願いしようかな?」


 誰よりもやさしい彼女は、返事さえも……あったかかった。


「……また、泣いちゃったね」

「?」


 ただ、おれの涙を拭ってくれる彼女が、なんでそんなことを言ったのかまでは、……わからなかった。