「いたああ!!!!」
「え?」
そんなことを考えながら、庭園にあるいろんな花を眺めている時だった。
「すごいっ! 迷わず来られた! わたし、天才かも知れない!!」
(いや、そもそも天才でいらっしゃいますよね?)
そんなかわいらしいことを言いながら愛しい人がやってきた。……うん。やっぱりかわいい。
「そのライトのおかげで見つけられたみたい! あーよかった」
「……? そう、なんですか?」
どうやら彼女は、俺を捜しに来たみたいだ。
「……おかえりなさい。あおいさん」
「……! はいっ。ただいま、アイくんっ」
やっと、ちゃんとした笑顔が見られた。……それが今、ものすごく嬉しい。
「それはそうと、一体どうしたんですか? さっきは揉みくちゃにされて大変そうだったけど」
「そうなんだよアイくん! いや~。歓迎も過剰だと困るね! うんっ!」
「……とっても楽しそうに見えたよ?」
「はは。うんっ。やっぱり楽しいよね? みんなといられると」
「……はい。そうですね」
走ってきた彼女は、俺の近くまで来て、照らしたライトの先を見つめていた。
「ここに来たのはね? ボロボロのピッチャーなりに、バッターのあなたから三振を取りに」
(……あ。なるほど九条くん。そういうこと)
どうやらピッチャーは彼女自身のようだ。
……よかった。これは聞いちゃダメだ。危うく彼女に聞くところだった。
「どうしてボロボロなんですか?」
「あ。バッターは疑問に思わないんだね」
……不味いと思った。彼は何も言ってはいないけど、多分これはバレちゃいけない。
「ううん。あおいさんが今自分でピッチャーって言ったから。相手はバッターだし、そう言われて何となくわかったよ。……君が、何をしに来たのか」
「……そっか」
上手く誤魔化せただろうか。……できてなかったらごめんね、九条くん。
「好きってさ。答えがないでしょう? ……違うか。何パターンもあるでしょう? わたしは、そういうのが全然わからないんだ。まあ、わかる人は多分いないだろうけど。それでもそのパターンが、わたしにはもうほとんどないに等しいんだ」
……そうか。俺が五番ってことは、だ。
「……もう、誰かを三振してきたんだね」
それだけで十分だった。返事の仕方で、相手がどう思うかなんて、言ってみないとわからない。こればっかりは。
(……いや)
もしかして……だけど。
「もしかしてあおいさん、その自分の答えすら……言わせてもらえなかった?」
「っ、え?」



