すべての花へそして君へ①


「待ちなさいカオル! 詳しく事情を聞かせてもらうわよ!!」

「コズエさんの嫉妬はかわいいですねえ」


 逃げよう。今だけは。だって……信じられない。
 今まで以上に、彼女が愛おしくて。逸る鼓動を、走って走って誤魔化そう。


(ああ……。しんどい、ですねえ……)


 きっと気のせいだ。またいつもの自分に戻らないと。
 ……あれだ。きっと桜のせいだ。当てられたんだ。このあたたかさに。


(どうしてしまったんですかねえ……。本当に……)


 そんなこと、ありえないだろうと。ただただ言い聞かせて。
 逸る鼓動を、震える指先を。彼女から逃げて誤魔化した。



 逃げた先はもちろん彼らのところ。彼も彼でどうやら変な悩みがあるようですが。……ま、そんなのは杞憂では無いかとぼくは思いますけれど。


(……だって彼女は)


 ただ黒にしただけの彼のことを、かっこよすぎて見られないくらいには、べた惚れのようですから。