すべての花へそして君へ①


「……そもそもなんですけどお」


 ちょっと落ち着いた頃。どうやら違うことで気になってることがあるらしいかおるが、そう切り出した。


「九条さんは彼女の胸、触ったことないんですか?」

「かおる!?」

「……」

「ひなクン!?!?」


 無言って! ……無言てえ! それもう肯定してるようなものだからあ!!!!


「あるんじゃないですかあ! あんなに怒るからまだ触ってないのかと思――」

「あんなの触った内に入らないしっ!」

「あんなのとは?」

「え」

「教えてくださいよう、九条さあん」


 聞きたくない。聞きたくないはずなのに……ちょっと聞きたい。


「……心拍数、図った」

「はい?」

「へ?」

「……のと」

「「……??」」

「……何回か顔、埋めたくらいだし」

「ひなクン!? 十分だからっ!! 十分すぎるから!!!!」

「一番いい楽しみ方してらっしゃったんですねえ……」


 これ以上ないほどの楽しみ方を、彼はきっと、あおいチャンと両想いになる前からしてたとおれは思いました。(まーる!)