「でも、彼女はなかなかいい感じの大きさと感触でしたねえ」
「「――!?!?」」
「まあぼくは年上にしか興味はないんですが。彼女のそこは、高評価を差し上げ――」
「カオルうう!!!!」
「ひなクン落ち着いて!! 気持ちはすっごくわかるけどっ!!」
おれの中でのひなクンが、ものすごい仏様みたいに美化されてたや。いや、すっごくやさしーのは間違ってないんだけどね?
その時はなんて言って許したかわからないけど……流石のひなクンでも、今あおいチャンと想いが通じ合ったわけだし。そんなこと言われたらそりゃ、嫉妬剥き出しにもな――
「あれえ? まだ彼氏さん候補なんですよねえ。そんなこと言える立場じゃないんじゃないですかあ?」
「……は? な、なんでカオルが知って……」
「先程彼女に会いましたので。五番バッターを捜しに行かれましたよお?」
「「え」」
ひなクンは、泣きそうな顔でおれを見てきたあと、へなへなへな~とまたへたり込んでしまった。
「あらら。どうなさったんですう? ぼく、変なこと言いましたあ?」
「ううん。かおるは何も変なことは言ってないよ」
「……? そうですか?」
ちっちゃくなってしまったひなクンの背中を、憐れみをいっぱい込めてたくさんたくさん撫でてあげた。そんなおれらを、かおるは首を傾げながら見ている。
「……どうしようアカネ。オレがあいつに欲求不満野郎だってことがバレるのも時間の問題かも知れない……」
「そうだね。四番のこと全然言ってないのにわかっちゃう辺り…………え。ひなクン。五番も選出してたの?」
ものすごく小さく、「ぅぅぅ」って唸ってる。どうやら図星らしい。
「大丈夫ですかあ?」
「大丈夫じゃない。いつかあいつに嫌われる。引かれる……」
「い、いや、おれが言ったことって普通のことでしょ? というかあおいチャンがひなクン嫌うわけないでしょ??」
「教えてくださいよお」
「あああぁぁ……。どうしよ。幸せとか言ってる場合じゃないし。この先不安でしょうがないし……」
「ダメだこりゃ」
「ええ~。一体何だったんですう?」
結局のところ、ひなクンは「欲求不満がああ……」とか「嫌われるうう……」とか「絶対引かれる……」とか。そんなことをぶつぶつ言うだけで、かおるの質問には絶対に答えませんでした。
そんなひなクンを見て、あかねパンチの効き目スゴイ! って、おれは思いました。(まる)



