幸せそうに頬を緩ませていた。
おれだって、彼女のことを幸せにしてあげたいけど。でも、目の前の彼のこんな素敵な顔を見られたことも、やっぱり嬉しかった。
「だからさアカネ。オレも、幸せにしてもらうんだ」
「え?」
「幸せ自体が、一人でなれるようなものじゃない。……それに、オレもあいつも、二人で幸せになるつもりは、さらさらないんだよ」
「……ひな、クン」
「だからさ」と。そう言う彼は、今まで見たことないくらい、大人っぽくて、かっこよくて。
「みんなで幸せになろ。そしたらみんな。本当にみんなが、幸せになれるから」
「……うんっ。そうだね!」
やっぱり君には敵わない。やっぱり彼女には敵わない。ほんと、かっこいい二人がおれは……大好きだ!
「ひなクン」
「ん?」
「……ほんと、お疲れ様でしたあ!」
「……前にもいっぱい言ってもらった」
「ほんとのほんとに終わったからね! あと、……ここにも来てくれて、ありがと」
「じゃあ、それにはどういたしまして。別にお礼とかいらないのに。オレの、……ただの欲求不満が原因なんだし」
あらら。また落ち込んでしまったよ。
「しょうがないよ! 男ってそういうものだし!」
「……爆発したらどうしよ」
「え」
「ていうかよく考えたら、もうオレいろいろ暴走してるし。暴走して吐き出した挙げ句、こんなことになってるとか……」
「えー……っと」
「既にいろいろ堪えすぎてたせいで、欲求不満を行動に表してるとか。しかもそれにオレ、気付いてないとか。……行く末不安でしょうがない」
「うー……んと」
「もっと、いろいろ頑張らないと……。オレよりもあいつがヤバいことになる」
「た、大変だねえ……」
なんとな~くだけど、欲求不満な理由がわかってしまった。我慢……は体に悪いからね? 気を付けて、としか言えないよー……。
そんな、かわいいあおいチャンに羨ましい悩みを抱えているひなクンの背中を、よしよしと撫でてあげていた時だった。
「あら~。皆さんお揃いですねえ」
「「あ」」
おれらのところに、かおるがひょっこり現れたのは。



