ぐいぐいと攻め入るおれの質問に、彼は本当にわかっていないようで。ただただ首を傾げている。
「……はあ。やっぱり面倒臭いな」
「え。あ、アカネ、だよね……?」
「そうだよ!! ……もおー! ひなクンっ!!」
「はっ、はいっ」
こうなったらもうやけっぱちだ!
鈍感すぎる君の奥底の気持ち、おれが――教えてあげるっ!!!!
「このぉぉおお~……。欲求不満がああ!!!!」
おれは大きく振りかぶり、軽く彼の顔に『あかねパンチ!』を食らわせた。
「いてっ」
そのあとはポカポカ、頭とか肩とか、そこら辺を叩く。
「なにさ! まだ彼氏有力候補さんのくせに!」
「え。い、いやまあ、メールでそう言ったけどさ……」
「なにさ! まだあおいチャンの彼氏じゃないくせにっ!」
「え。いや、はい。そうです、けど……」
「なにさ! 彼氏に早くなりたいからってえー!!」
「……え?」
ポカポカ! こんな頭、いい方にバカになっちゃえ!
「なにさなにさ! どうせあおいチャンを早く抱き締めたいんだろー!」
「(普通にしてますけど……)」
「なにさー! あおいチャンにもっとたくさん触りたいんだろー!」
「(いやまあそうだけど、そんな関係になる前からめっちゃ触ってるとか言ったらキレる……よね、多分)」
「なにさ! なにさなにさ! あおいチャンともっとちゅーしたいんだろー!!!!」
「(も、もっと……って、え。なんで既にしたことをアカネは知ってるんですか)」
ポカポカポカ! バカになれ~! バカになれえーッ!!
「こんなことしてえ! 早くあおいチャンを自分のものにしたかったからでしょお!?」
「え」
「結局はひなクンが我慢できないからでしょお!!」
「え」
「あおいチャンを自分のものにしたいって! 早くひなクンが安心したかったからでしょって言ってるんだあ! この欲求不満っ!!!!」
「……」
言ってやった! いっぱい殴ってやった!
ああもおおー!! おかげでモヤモヤイライラしてたのが、ちょっと治まっちゃったじゃんかあー! ひなクンのバカ! ありがとおー!! ばかあー!



