「今度さ! アニメ鑑賞会もしようね! あ。あとは漫画も読みたーい!」
「もちろん! これからたくさん、いろんなことしよ?」
「……! ……うんっ」
約束を取り付けることも怖かったんだろう。それでも今、こうして楽しそうに笑う彼女を見るだけで、すごく幸せだ。
「おれはあおいチャンの味方だからね!」
「おお! 心強い! ……とっても。心強い」
「え。どうしたの」
「味方さんが。少ないみたいなんです。どうぞ」
「おう……。それは大変だ。どうぞ」
「でしょ。どうぞおおぉ……」
まだ少し、胸が痛いけど。きっといつか、治まる日が来るだろう。……きっと。
「これからまだ、ちょっと行くとこあるんだ。アカネくんから元気もらったから、行ってくるね!」
「おおー! 頑張ってね! 応援してるよお~!」
「ありがとー! 行ってきまーすっ」
そう言って彼女は、会場へと向かっていった。
おれは、その背中が見えなくなるまでずっと。
「いってらっしゃーい!」
手を振り続けた。
「いってらっしゃ~……。い……」
振り続けた。振って、振って……、振り続けて……。
彼女が見えなくなってしばらくして。まるで骨でもなくなったみたいに、だらりと一気に手が下がる。
「なにが……。いってらっしゃいだ……」
行って欲しいわけないじゃないか。ここにいて欲しいに、決まってるじゃないか。
……また隠した。今のだけは、バレてないことを祈る、けど……。
「四番さん。お疲れ様」
けど、最悪なタイミングで、彼が現れてしまった。



