すべての花へそして君へ①


 けれど、もうこんな時間だ。わたしとヒナタくんはお昼寝したから大丈夫だけど、みんなは今日一睡もしていないはず。


「……寝ちゃってる、よね」


 歩いていた足が、どんどん重くなっていく。


「どう、しよっかなー……」


 そして完全に止まる。
 廊下の窓から、さっきよりもだいぶ動いた月を見上げてみた。会場に行ってみようか。そしたらもしかしたらまだみんないるかも知れないし。
 でも、おかしいな。足が動かない。どうしたんだろう。さっきまでは動いてたのに。


「……今日、言えなかったら……」


 どこまで彼は、わたしのことを理解しているんだろう。
 今が、わたしの中の想いを伝えられる時だった。気持ちも、十分持ち直せた。だから、『今』言っておかないと、きっとまた、苦しくなる。
 時間を置いてしまうと、わたしがつらくなることまで、わかってるのか。自分じゃ、わかってないところまで。


「はは。あーもうっ。……ほんと」


 好きで好きで、しょうがない。


「こんな気持ちになれるなんて。夢みたいだ……」


 そう零れた言葉とともに、涙と星が、一筋流れた。


「夢みたいって言えるのは、それはもう現実になってるってこと、だったよね?」