けれど、もうこんな時間だ。わたしとヒナタくんはお昼寝したから大丈夫だけど、みんなは今日一睡もしていないはず。
「……寝ちゃってる、よね」
歩いていた足が、どんどん重くなっていく。
「どう、しよっかなー……」
そして完全に止まる。
廊下の窓から、さっきよりもだいぶ動いた月を見上げてみた。会場に行ってみようか。そしたらもしかしたらまだみんないるかも知れないし。
でも、おかしいな。足が動かない。どうしたんだろう。さっきまでは動いてたのに。
「……今日、言えなかったら……」
どこまで彼は、わたしのことを理解しているんだろう。
今が、わたしの中の想いを伝えられる時だった。気持ちも、十分持ち直せた。だから、『今』言っておかないと、きっとまた、苦しくなる。
時間を置いてしまうと、わたしがつらくなることまで、わかってるのか。自分じゃ、わかってないところまで。
「はは。あーもうっ。……ほんと」
好きで好きで、しょうがない。
「こんな気持ちになれるなんて。夢みたいだ……」
そう零れた言葉とともに、涙と星が、一筋流れた。
「夢みたいって言えるのは、それはもう現実になってるってこと、だったよね?」



