すべての花へそして君へ①


「今までずっと、わたしのこと見ていてくれて、ありがとう。わたしのこと、好きになってくれて本当に本当にありがとう」

「……あおい、さん」

「もっと前から、レンくんとお友達になりたかったですっ」

「……! ……っ。じゅうぶん、です」


 勿体ないと。ただそう言っただけなのに、彼は綺麗な涙をぽとり。ぽとりと落としていた。


「ありゃりゃ。泣いちゃった」

「これは……。嬉し泣きですから……」

「ははっ。ベンチに帰るのは、もうちょっと後にしよっか」

「はいっ……。……ありがとう。あおいさんっ……」

(……こちらこそ)


 勿体ないことをしたのは、わたしの方だ。だって、こんな素敵でやさしい子と……。


「こちらこそ、お友達になってくれて、ありがとう。レンくん」

「……! っ。ちょっと……。肩、貸してくださいっ……」


 こんなにも長い間、お友達ですらなかったなんて。彼のことを、全然知らなかったなんて。
 ……ああ。ほんと。わたしはなんて、バカちんなんだ。


「恐らくだけど、ヒナタくんはそこでわたしに胸を要求する」

「ははっ。子ども、ですからね。あいつは」

「うん。……ほんと、そうだね」


 わたしも、まだまだお子ちゃまだ。みんなに支えられないと、伝えたいことも言えないなんだから。


「……れんくん」


 ありがとう。ほんと。……ありがとね。

「長い間お疲れ様」と。それは言葉には敢えて出さずに、ただただ俯く彼の銀色を撫でた。
 たくさんたくさん、ありがとうと添えて。