「今までずっと、わたしのこと見ていてくれて、ありがとう。わたしのこと、好きになってくれて本当に本当にありがとう」
「……あおい、さん」
「もっと前から、レンくんとお友達になりたかったですっ」
「……! ……っ。じゅうぶん、です」
勿体ないと。ただそう言っただけなのに、彼は綺麗な涙をぽとり。ぽとりと落としていた。
「ありゃりゃ。泣いちゃった」
「これは……。嬉し泣きですから……」
「ははっ。ベンチに帰るのは、もうちょっと後にしよっか」
「はいっ……。……ありがとう。あおいさんっ……」
(……こちらこそ)
勿体ないことをしたのは、わたしの方だ。だって、こんな素敵でやさしい子と……。
「こちらこそ、お友達になってくれて、ありがとう。レンくん」
「……! っ。ちょっと……。肩、貸してくださいっ……」
こんなにも長い間、お友達ですらなかったなんて。彼のことを、全然知らなかったなんて。
……ああ。ほんと。わたしはなんて、バカちんなんだ。
「恐らくだけど、ヒナタくんはそこでわたしに胸を要求する」
「ははっ。子ども、ですからね。あいつは」
「うん。……ほんと、そうだね」
わたしも、まだまだお子ちゃまだ。みんなに支えられないと、伝えたいことも言えないなんだから。
「……れんくん」
ありがとう。ほんと。……ありがとね。
「長い間お疲れ様」と。それは言葉には敢えて出さずに、ただただ俯く彼の銀色を撫でた。
たくさんたくさん、ありがとうと添えて。



