すべての花へそして君へ①


 ……そうです。もちろん答えは③ですね。その据わった目がとっても怖かったので。


『ほ、ほんとに嫌だったらヒナタくん今ごろあの世だよ? 本当にやめて欲しかったら本当にぶっ飛ばしてるよ? だからヒナタくんをぶっ飛ばすことは絶対にないんだよおぉー……』


 と、慌ててフォローを滑り込みでぶっ込んでおいたんですが。


『でも、カオルに襲われた時ぶっ飛ばさなかったじゃん』
『元五十嵐組の人にも襲われたじゃん』
『あんた力抜けるじゃん。こういうことされたら攻撃できないじゃん』
『オレ以外にも、嫌がらないんじゃん……』


 じゃん×5攻撃をぶっ放してきたヒナタくんは、なんか話題をとてつもない方向へと変えてきました。そして再び『ネガ日向』到来。どこからともなくやってくるモードに、そしてまだ適切な取扱説明書を作成しきれていないわたしは、……言ってしまったのです。


『そんなことないよ! だってもうしてるし!』


 ……と。


『はああ??』


 そして再び、ヒナタくんキレちゃうの図。しまった! と思ってすぐ、彼から視線は外しておきました。


『ねえ。誰に襲われたの。オレ聞いてない』


 そ、そりゃ言っていませんから。ていうかそもそも、そんなことを相手にしてしまったあとあなたに会ったのは、今日が初めてですけどね。


『……なに。言えないの。誰。誰にやられたの。誰ぶっ飛ばしたの』


 ていうかそもそも、ヒナタくんの作戦のせいですけどね。彼、計画通りにわたしを寝かせようとしただけなんですけどね。
 けれど、そのあとヒナタくんから『大丈夫……だったの?』とか『助けてあげられなくて……ごめん』って、ものすごく心配そうな声が聞こえてきたもんだから。わたし、堪らず言ってしまったんですよ。


『あのね? ヒナタくん。ぶっ飛ばしちゃったのは、レンくんなの』


 よくよく考えたら、ロシアの学校に通ってた時、しつこくデートに誘ってくる人をぶっ飛ばした過去があったのに、なんでそれを言わなかったんだろうと、言って後悔。言うのを渋っていたのは、ヒナタくんのためでもあったんだけど……。


「ほら早くしてよ。毒入れたあと踏み潰さないといけないんだから」

「ふ、ふみっ!?」


 ――そして冒頭に至ります。
 しかも、踏み潰しとくとかって、相手はレンくんだったのか。……流石に止めねば。彼は女子よりも弱いもの。


「ひ、ひなたくん、そういうのは……」

「なに。レンのこと庇うの。なんで」

「いや、庇ってるのはレンくんではなくてヒナタくんである」

「……は?」