お(とお)さんと(はな)しあった週末(しゅうまつ)、さっそくわたしは、サラちゃんとルイくんのお(かあ)さんが先生(せんせい)をやっているバレエ教室(きょうしつ)生徒(せいと)になった。

「いよいよだね」

 更衣室(こういしつ)真新(まあたら)しいレオタードを()て、バレエシューズをはいたわたしの(かた)を、サラちゃんがポンとたたく。

「うん。これからよろしくね」

 と()っても、これからバレエをはじめる(わたし)と、四歳(よんさい)から(なら)っているサラちゃんやルイくんとは、クラスが(ちが)うんだけどね。
 更衣室(こういしつ)()ると、ルイくんも、わたしを待っていてくれた。
 ふたりとも、初日(しょにち)今日(きょう)は、とくべつに付きそいをしてくれているんだ。

「これから、いっしょにがんばろうね」

 ルイくんのその言葉(ことば)に、(わたし)は大きくうなずいて、教室(きょうしつ)のドアノブをにぎる。
 はじめてここに()(とき)は、文房具屋(ぶんぼうぐや)さんとまちがえていたんだよね。
 それが、(すべ)てのはじまりだった。
 もしかして、こういうのを運命(うんめい)って言うのかな?
 ドキドキしながら教室(きょうしつ)に入ると、サラちゃんとルイくんお(かあ)さんが(なか)にいた。
 今日(きょう)は、ふたりともレオタード姿(すがた)だ。

「これから、よろしくおねがいします」

 ペコリとおじぎをするわたしに、サラちゃんとルイくんお(かあ)さんは、それぞれに「よろしくね」って()ってくれた。
 今日(きょう)初日(しょにち)のわたしは、説明(せつめい)()けるために(はや)()たから、教室(きょうしつ)には他の生徒(せいと)はまだいない。

青葉(あおば)さん、水瀬(みずせ)舞子(まいこ)さんの(むすめ)さんだったのね」

 教室(きょうしつ)()まり(ごと)をひととり(おそ)わった(あと)で、サラちゃんのお(かあ)さんが()った。

「お(かあ)さんこと、知っているんですか?」

 サラちゃんとルイくんには、お(かあ)さんのことを話してある。

「ええ、(わたし)(あこが)れのプリマよ。最初(さいしょ)()った(とき)、だれかに()ていると(おも)ったのは、そのせいだったのね」

 サラちゃんのお(かあ)さんは、そう(はな)して、わたしのお(かあ)さんが海外(かいがい)でもすごく有名(ゆうめい)なバレリーナだった(はな)しをしてくれた。