日曜日、わたしは小さな花束を二つ抱えて、近くの市民ホールに来ていた。
花束は、友だちのバレエの発表会に行くって言ったら、おばあちゃんがじゅんびしてくれたの。
そういう決まりがあるわけじゃいけど、発表会の後に楽屋に遊びに行くって言ったらじゅんびしてくれたんだ。
バレエの発表会では、お祝いに花束を持っていくことが多いんだって、おばあちゃんは話してたけど、どうしてそんなことを知っているんだろう?
お父さんは、わたしが友だちのバレエの発表会に行くって言ったら、ちょっとふきげんな顔をしていた。
新しい学校ですぐに友だちができたって話したときは、すごくよろこんでくれていたのに……。
席について、そんなことを考えていたら、ブザーが鳴って、照明が消えていく。
いよいよはじまるんだ。
まわりからちらほら拍手の音が聞こえる中、するすると幕が上がっていく。
舞台が明るくなっていくのに合わせて、優雅な曲が聞こえてきて、チュチュっていうふわりと広がるスカートをはいた数人の女の子たちが踊り出す。
みんなが息をそろえてステップを踏む姿に見とれていると、曲テンポが、少し変わる。
それと同時に、舞台にサラちゃんが出てきた。
他の女の子と違う衣装のサラちゃんは、弾むようなステップで進み出て、舞台の中央でクルリと回る。
そんなサラちゃんを追いかけるみたいに、かれいなジャンプを飛んで、ルイくんも舞台に姿を見せた。
そしてサラちゃんとルイくんは、ふたりで息を合わせてかれいに踊る。
スポットライトに照らされ軽やかに踊るふたりの姿は、魔法の粉がふりかけられたみたいにキラキラしている。
「わ~、すごい」
わたしは顔の前で両手を組んで、お祈りするみたいな姿勢でそれを見守った。
サラちゃんとは、毎日学校でおしゃべりしているけど、今はなんだか知らない子みたい。
それはメイクをして、お姫様みたいなキレイな衣装を着ているからじゃないよね。
しなやかな動きで踊るサラちゃんの表情はすごく真剣で、足のつま先、手の指の一本、一本まで意識を集中させているのがわかる。
いつも明るくて、クラスの人気者のサラちゃんとは、別のサラちゃんが舞台の上にいる。
それはサラちゃんの手を取るルイくんもいっしょ。
ルイくんとは、サラちゃんほどいっしょにいるわけじゃないけど、それで学校で見かける時とは全然違う顔をしている。
童話に出て行くる王子様みたいに優雅な動きで、漢字指先まで使って演技している。
そんなふたりの姿に、わたしはずっとドキドキしっぱなしだった。
花束は、友だちのバレエの発表会に行くって言ったら、おばあちゃんがじゅんびしてくれたの。
そういう決まりがあるわけじゃいけど、発表会の後に楽屋に遊びに行くって言ったらじゅんびしてくれたんだ。
バレエの発表会では、お祝いに花束を持っていくことが多いんだって、おばあちゃんは話してたけど、どうしてそんなことを知っているんだろう?
お父さんは、わたしが友だちのバレエの発表会に行くって言ったら、ちょっとふきげんな顔をしていた。
新しい学校ですぐに友だちができたって話したときは、すごくよろこんでくれていたのに……。
席について、そんなことを考えていたら、ブザーが鳴って、照明が消えていく。
いよいよはじまるんだ。
まわりからちらほら拍手の音が聞こえる中、するすると幕が上がっていく。
舞台が明るくなっていくのに合わせて、優雅な曲が聞こえてきて、チュチュっていうふわりと広がるスカートをはいた数人の女の子たちが踊り出す。
みんなが息をそろえてステップを踏む姿に見とれていると、曲テンポが、少し変わる。
それと同時に、舞台にサラちゃんが出てきた。
他の女の子と違う衣装のサラちゃんは、弾むようなステップで進み出て、舞台の中央でクルリと回る。
そんなサラちゃんを追いかけるみたいに、かれいなジャンプを飛んで、ルイくんも舞台に姿を見せた。
そしてサラちゃんとルイくんは、ふたりで息を合わせてかれいに踊る。
スポットライトに照らされ軽やかに踊るふたりの姿は、魔法の粉がふりかけられたみたいにキラキラしている。
「わ~、すごい」
わたしは顔の前で両手を組んで、お祈りするみたいな姿勢でそれを見守った。
サラちゃんとは、毎日学校でおしゃべりしているけど、今はなんだか知らない子みたい。
それはメイクをして、お姫様みたいなキレイな衣装を着ているからじゃないよね。
しなやかな動きで踊るサラちゃんの表情はすごく真剣で、足のつま先、手の指の一本、一本まで意識を集中させているのがわかる。
いつも明るくて、クラスの人気者のサラちゃんとは、別のサラちゃんが舞台の上にいる。
それはサラちゃんの手を取るルイくんもいっしょ。
ルイくんとは、サラちゃんほどいっしょにいるわけじゃないけど、それで学校で見かける時とは全然違う顔をしている。
童話に出て行くる王子様みたいに優雅な動きで、漢字指先まで使って演技している。
そんなふたりの姿に、わたしはずっとドキドキしっぱなしだった。
