運と運命

家の中に入ると、奥からお母さんが顔を覗かせる。

「おかえりなさい」
「ただいま」

靴を脱いで2階にある自分の部屋に行き、汚れても大丈夫なTシャツに着替える。着替えを済ませ下に降りると、白い所もあれば黒い毛もある可愛いらしい毛並みをした愛猫が足元にスリスリと寄ってくる。
自分のことを出迎えてくれる嬉しさから愛猫を優しく撫で、手を洗ってキッチンに向かうと、

「あ、今ちょうど焼けたとこだから、置いてきてくれない?」と、お母さんは新しいパン生地を捏ねながら私に言った。

そうして、また今日も、いつも通りのお手伝いが始まる。

(あの男の子、また来てくれるといいな)

いつも通りのお手伝いなのに、今日という日はまるで心がデコレーションされたかのように彩りが増した。