クールな同期は、私にだけ甘い。


私の目からは、とめどなく涙が溢れ出す。

うっう……と、嗚咽が漏れる。一度溢れてしまえば、もう止まらない。

私は、子供のように声を上げて泣きじゃくった。

誰にも見られたくなかった不甲斐ない姿を、よりによって憧れの彼に見せてしまっているのに……。

不思議と、恥ずかしいとは思わなかった。

むしろ、ずっと一人で背負い込んできた重荷が、彼の手のひらを通して、一気に流れ出していくような、深い安堵感に包まれる。

それから萩原くんは、何も言わず、ただ静かに、私が落ち着くまで頭を撫で続けてくれた。

彼の掌から伝わる温もりが、私の心をじんわりと溶かしていく。

周りには、キーボードを叩く音も、誰かの話し声もない。ただ、私の嗚咽だけが響いていた。

窓の外は、ビルの明かりがまばらに点滅している。

この広い東京で、今この瞬間、私と萩原くんだけがここにいる。

彼の掌から伝わる温もりは、ただの優しさではない。きっと私の未来を変える「光」になる。

そんな予感が、冷え切った胸の奥で、じんわりと芽生え始めていた。