クールな同期は、私にだけ甘い。


「……はい。ぜひ、やらせてください! 私、このプロジェクトに全力を尽くしたい」

私は、意を決して答えた。

私のような入社三年目の社員が、社内でも注目度の高いこのプロジェクトに参加するのは、かなりハードルの高い挑戦だ。

だけど、このまま立ち止まっていては、何も変わらない。

萩原くんに近づくどころか、ますます彼との距離が開いていく気がした。

私の返事に、萩原くんは少し驚いた顔をしたあと、静かに頷いた。

その瞳には、私への期待と、どこか深い理解の色が宿っているように見えた。

「桜井なら、きっとできる。俺が保証する」

まさか、萩原くんにそんなふうに言ってもらえるなんて。

彼の言葉は、これ以上ない心強い支えになるだろう。プロジェクトを通じて、私たちは以前よりも確実に、関わる機会が増えるはずだ。

だけど、私は萩原くんへの想いは絶対に隠し通そうと、強く心に誓った。

今は、恋愛よりも仕事だ。このプロジェクトを必ず成功させ、デザイナーとしての私を確立することが、きっと彼に近づく唯一の道だから。