つい先日、徹夜続きで疲れ果てた桜井が、自分のデスクでうたた寝をしているのを見かけたことがあった。
その寝顔は、まるで幼子のように無垢で、俺は思わず彼女の肩にそっとブランケットをかけてやった。
そのとき、桜井が微かに身動きし、心地よさそうに微笑んだのを見て、俺の胸は温かいもので満たされたのだった。
社内での俺と星野との関係は、あくまで「仕事仲間」に過ぎない。
しかし、その数日後。桜井が自分のデスクで「リンクコネクト」の画面を固まったように見つめているのを、俺はたまたま目撃した。
あいつの様子から、おそらく星野の投稿を見たのだろうと、すぐに察しがつく。
桜井が俺と話すときにふと見せる、どこか戸惑いがちに表情を繕う様子。
そんな桜井の繊細さが、俺にとっては愛おしかった。
彼女の不安そうな表情を見るたび、俺は自分の気持ちを伝えるタイミングを模索する。
同時に、彼女がもっと自分自身に自信を持てるように、何かきっかけを作ってやりたいとも考えていた。
桜井の才能は、俺が誰よりも知っている。その輝きを、もっと世間に、そして何より桜井自身に、気づかせたい。このまま、彼女が自分の殻に閉じこもってしまうのは惜しい。
俺は、密かに新たな計画を練り始めた。彼女が輝ける場所を、俺が作ってやりたいと。



