萩原くんと過ごす時間は、日々の疲れを癒してくれる、かけがえのないものになっていた。
彼の優しい眼差し、さりげない気遣いに触れるたび、私の心には、同期としての友情とは違う、特別な感情が芽生え始めていることを自覚した。
彼と話しているときが、一番落ち着く。
胸の奥がキュンと締めつけられるような、甘く、けれど少しだけ苦しい感覚。それは友情や尊敬とは違う、もっと個人的で温かい、特別な感情だった。
そうか。私は……萩原くんに恋をしているんだ。
「……っ」
自分の想いを自覚した瞬間、急に体が熱くなる。
けれど、私たちの関係はあくまで「良い同期」だ。この気持ちを伝えたら、きっと今までみたいに萩原くんのそばにはいられなくなる。
今のこの心地よい関係を壊すのは怖い。そして何より、萩原くんがオフィスで人気者だということは誰もが知る事実。
平凡な私は、彼には釣り合わない。だったら……この想いは誰にも告げず、そっと心の奥にしまっておくほうがいい──。



