クールな同期は、私にだけ甘い。


「桜井、貸せ」

声の主は、萩原くんだった。彼は私からペットボトルを取ると、いとも簡単にキャップを開けてみせた。

そんな些細な仕草一つも、彼にとってはなんてことないのだろう。その頼りがいのある姿に、私の心臓がドクンと大きく跳ねる。

「あ、ありがとう!」

私が感謝の言葉を口にするのとほぼ同時、萩原くんは開けたペットボトルを私に差し出してきた。そのとき、彼の指先が私の指に微かに触れた。

微かな、けれど確かな電流が走ったような気がして、心臓がドクンと大きく跳ねる。

顔が熱くなるのを感じ、私は慌てて視線を逸らした。萩原くんは、そんな私の変化に気づいているのかいないのか、何も言わずに再び自分のデスクに戻っていく。

彼の背中を見つめながら、私はペットボトルを握りしめる。

指先に残る微かな温もりと、先ほど触れた指先の感触が、忘れられない。

この胸の高鳴りは、一体なんなのだろう。