クールな同期は、私にだけ甘い。


「……休日は、たまに陶芸教室に行っているんだ。あの、無心に土をこねている時間が、頭の中を整理するのにちょうど良いというか。集中して土と向き合っていると、余計なことを考えずに済むんだ」

彼の口から出た「陶芸」という言葉に、私は目を見開く。

「えっ、萩原くんが……陶芸!?」

あのクールでスマートな萩原くんが、土をこねて、無心になっているなんて。

その意外な告白に、私は驚きとともに、彼の繊細な感性、そして完璧さだけではない、人間らしい一面を垣間見た気がした。

彼の新しい一面を知るたびに、萩原くんという人が、私の心の中でどんどん膨らんでいく。

気づけば、彼のことが気になって仕方がない。



「桜井、おめでとう」

そんな日々の積み重ねの中、私のウェブサイトデザイン案は、ついにクライアントの最終プレゼンで承認された。

諦めかけていた企画が通り、この一年、長らく陥っていたスランプからようやく抜け出せた瞬間だった。

「ありがとうございます!」

会議室にいた全員が私に拍手してくれ、担当の先輩が「桜井、よくやった!」と肩を叩いてくれたとき、私の目からは自然と涙が溢れ出した。

嬉しさ、安堵。そして何よりも、この一年間の苦悩が報われた達成感に包まれた。

体がじんわりと温かくなり、心の重荷がふっと軽くなるのを感じる。

そして私が真っ先に視線を向けたのは、同席していた萩原くんだった。