クールな同期は、私にだけ甘い。


「私……どうしたらいいか、分からないんだ。昔、テレビで見たCMに心を震わされて、デザイナーになりたいって思ったのに……今の私には、何も生み出せない」

俯き、自分の手のひらをじっと見つめる。指先が、微かに震えているのが分かった。

言葉にすることで、抱えていた重みがさらにずしりと心にのしかかる。

「求められているものが、頭では理解できるのに、どうしても形にできないの。まるで、才能が枯れてしまったみたいで……」

私の声は掠れ、最後はほとんど聞こえないくらいの呟きになった。

こんな本心を、誰かに話すのは初めて。

普段、弱音を見せないように必死に取り繕っているからこそ、萩原くんの前にいると、堰を切ったように本音が出てしまう。

萩原くんは何も言わず、ただ静かに私の話を聞いてくれていた。

その沈黙は、決して居心地の悪いものではなく、むしろ私に寄り添ってくれている温かいものだった。

食堂の喧騒が遠のき、まるで私たち二人だけが、透明な壁に囲まれているような気がした。

私が話し終えると、萩原くんはふわりと優しく微笑む。

普段のクールな彼からは想像できないほど穏やかなその表情が、私の心をじんわりと温める。

そして、萩原くんは何も言わずに私の頭にそっと手を置き、ポン、と撫でた。

あっ……。