誰か一人が代表して鍵を借りよう、って話になって、顔に出にくい美月が適任者に選ばれたんだよね。
 恐るべし、優等生パワー。こんな陳腐な理由でも鍵を借りれるなんて凄い。

 昼間と違い、暗く静まり返った校舎内は、えも言われぬ不気味さがある。幽霊が出てきそうで怖すぎだよ……!

「行くわよ」

 持ってきていた懐中電灯で足元を照らし、三人ぴったりくっつきながら教室へ向かう。
 既に教室の前には数人集まっているみたいで、近づくにつれて会話する声が聞こえてきた。

「あっ、来た来た」

「美月ちゃんありがとう〜」

「別にいいわよ。開けるわね」

 教室の鍵を開け、私たちは逃げ込むように中に入る。

 やっぱり見慣れた教室は落ち着くなぁ。去年も同じ教室だったから、なんだか安心する。
 にしても、皆が私服を着て学校に集まってるの、ちょっと不思議かも。普段制服しか見ていないから新鮮だ。

「先にお菓子開けちゃおっと」

 リュックサックを下ろして中を漁り、私は個包装の飴玉を手に取る。

「はい、聖歌、美月も」

「ありがとう結月ちゃん」

「ん、ありがと」

「お、羽田いいもん持ってんな。チョコと交換でどうよ?」

「するする!」

 すぐ傍にいた稙田棗が、私の持っていた飴玉に目を輝かせた。棗が持ってきていたミルクチョコと交換して、それがきっかけになって皆の間でお菓子交換が始まる。

 適当な席に腰を下ろしてお菓子を堪能しているうちに、徐々に人が集まってきて、40分を回る頃には全員が集合していた。

 最後に滑り込むようにやって来た華ちゃんは、やっぱりどこか元気がなさそうで……ちょっと心配。

「よし、全員いるな? 説明始めるぞ。大きな声出せねぇからこっち寄ってくれ」

 ノリノリの智也が場を仕切り始め、興奮気味に説明が始まる。
 話によると、どうやらいくつか守らなきゃいけないルールがあるみたいだった。