どうして今まで気づかなかったんだろう。私はずっと、美月を逃がすことばかり考えて……美月に苦しい道ばかり歩ませようとしてたの?
『逃げて』、『隠れて』なんて、『失格になって』なんて言うより、ずっと酷い。
そんな簡単なことすら理解できない私……やっぱり馬鹿だ。
私のお題が、『秘匿』ってことを明かしちゃダメって意味かは断言できない。でも、本能が間違いないって告げている。
私にこのお題が課された理由、やっと分かったよ。
"安易にお題違反になる"反面、"自らお題違反を簡単に選べてしまう"から……私みたいに、突っ走っちゃう人間にはぴったりだったんだ。
ありがとう『カミサマ』。お陰で私、美月を助けられる。
……どうせ、一人しか残れないのなら。
私はぴたりと動きを止める。美月の力が弱まった隙をついて、覆い被さる美月の体から抜け出した。
「……結月?」
「はぁっ……美月、あのね」
今から失格になるのに……聖歌や陽介と同じように、無惨に殺されてしまうかもしれないのに。
何故か心は凄く穏やかで、恐怖なんて欠片も感じられない。
寧ろ、美月への『好き』って気持ちが溢れて、全てがどうでもよくなってしまっているみたいだった。
起き上がった美月は、戸惑ったように私を見据える。
……ごめんね。今から私、ずるいことしちゃう。
でも、美月のことが好きだから。たった一人の、命を分けた妹だから。
「……美月のこと、大好き。ずっとずっと、今までもこれからも大好き。だから私の秘密、聞いて」
「……何を言って」
「私の、ゲームのお題は──」
言葉を紡ごうとした唇は、そっと伸ばされた美月の指によって、いとも簡単に塞がれた。
思いもよらぬ行動に、次の言葉が出ない。声が出せない。
……美月は、知ってるんだよね。私のお題が、他人に知られちゃダメなんだって。
私は美月の優しさを誰よりも知ってる。分かってる。
だからお願い──そんな悲しそうな顔をしないでよ。
美月の目尻から涙が伝う。綺麗な雫がぽたぽたと零れていくのが、何よりも辛い。
『逃げて』、『隠れて』なんて、『失格になって』なんて言うより、ずっと酷い。
そんな簡単なことすら理解できない私……やっぱり馬鹿だ。
私のお題が、『秘匿』ってことを明かしちゃダメって意味かは断言できない。でも、本能が間違いないって告げている。
私にこのお題が課された理由、やっと分かったよ。
"安易にお題違反になる"反面、"自らお題違反を簡単に選べてしまう"から……私みたいに、突っ走っちゃう人間にはぴったりだったんだ。
ありがとう『カミサマ』。お陰で私、美月を助けられる。
……どうせ、一人しか残れないのなら。
私はぴたりと動きを止める。美月の力が弱まった隙をついて、覆い被さる美月の体から抜け出した。
「……結月?」
「はぁっ……美月、あのね」
今から失格になるのに……聖歌や陽介と同じように、無惨に殺されてしまうかもしれないのに。
何故か心は凄く穏やかで、恐怖なんて欠片も感じられない。
寧ろ、美月への『好き』って気持ちが溢れて、全てがどうでもよくなってしまっているみたいだった。
起き上がった美月は、戸惑ったように私を見据える。
……ごめんね。今から私、ずるいことしちゃう。
でも、美月のことが好きだから。たった一人の、命を分けた妹だから。
「……美月のこと、大好き。ずっとずっと、今までもこれからも大好き。だから私の秘密、聞いて」
「……何を言って」
「私の、ゲームのお題は──」
言葉を紡ごうとした唇は、そっと伸ばされた美月の指によって、いとも簡単に塞がれた。
思いもよらぬ行動に、次の言葉が出ない。声が出せない。
……美月は、知ってるんだよね。私のお題が、他人に知られちゃダメなんだって。
私は美月の優しさを誰よりも知ってる。分かってる。
だからお願い──そんな悲しそうな顔をしないでよ。
美月の目尻から涙が伝う。綺麗な雫がぽたぽたと零れていくのが、何よりも辛い。



