……聖歌は、もう戻ってこない。あの姿を見た後じゃ、嘘でも希望でも、『また会える』なんて綺麗事は言えない。
今は誰だって同じ境遇で、それは……美月も同じなんだ。
自分ばっかり傷ついたように振る舞うなんて……そんなのダメだ。
「……ごめん」
「聖歌を忘れろとは言えないわ。私だって、今すぐこんなゲーム放棄したい。でも、それは出来ないし、しないの」
──誰が残っても恨みっこなし。それが、2年A組でしょ?
哀愁を孕んだ言葉に、唐突に、腑に落ちた。
きっと、誰もお互いを恨んではいない……美月はそう言いたいんだと。
分からないことだらけでどうしようもないけど……私達ができる抵抗なんて、全員で逃げ切ることくらいなんだ。
「皆で勝ち残りたいのは、私も、愛音や小川君だって同じはずよ。力を合わせるの」
例え、最後の一人が自分でなくても……ううん、今いる皆で勝ち残る。
そして、『カミサマ』に一矢……いや、何十もの矢を報いてやるんだ。
私は蛇口から流れる水を手ですくい、喉の奥に残る吐き気を押し流すようにごくごくと飲み干す。
聖歌のことも、陽介のことも、絶対に忘れない。忘れたくない。
だから──私達は、二人の分まで、逃げてやる。
「……これは結月が持っていて」
美月がそっと何かを手渡す。
……聖歌のスマホだ。可愛らしいピンクのケースの中には、茉美や愛音と共に撮ったプリクラのシールが挟まれている。
落書きで埋め尽くされた一枚。楽しげな雰囲気が伝わってくる、映っている五人の姿に、思わず目頭が熱くなる。
「分かった。……絶対に最後まで持って行く」
「ありがとう。それと、聖歌のお題の送信者なのだけど」
「送信者?」
さっきそんなこと言ってたっけ……と思いながら、私は聖歌のスマホの画面を見る。
お題の送り主は、『遘√?谿コ縺励◆』と表示されていた。
「……私と同じかも」
「嘘……私は違うわ」
今は誰だって同じ境遇で、それは……美月も同じなんだ。
自分ばっかり傷ついたように振る舞うなんて……そんなのダメだ。
「……ごめん」
「聖歌を忘れろとは言えないわ。私だって、今すぐこんなゲーム放棄したい。でも、それは出来ないし、しないの」
──誰が残っても恨みっこなし。それが、2年A組でしょ?
哀愁を孕んだ言葉に、唐突に、腑に落ちた。
きっと、誰もお互いを恨んではいない……美月はそう言いたいんだと。
分からないことだらけでどうしようもないけど……私達ができる抵抗なんて、全員で逃げ切ることくらいなんだ。
「皆で勝ち残りたいのは、私も、愛音や小川君だって同じはずよ。力を合わせるの」
例え、最後の一人が自分でなくても……ううん、今いる皆で勝ち残る。
そして、『カミサマ』に一矢……いや、何十もの矢を報いてやるんだ。
私は蛇口から流れる水を手ですくい、喉の奥に残る吐き気を押し流すようにごくごくと飲み干す。
聖歌のことも、陽介のことも、絶対に忘れない。忘れたくない。
だから──私達は、二人の分まで、逃げてやる。
「……これは結月が持っていて」
美月がそっと何かを手渡す。
……聖歌のスマホだ。可愛らしいピンクのケースの中には、茉美や愛音と共に撮ったプリクラのシールが挟まれている。
落書きで埋め尽くされた一枚。楽しげな雰囲気が伝わってくる、映っている五人の姿に、思わず目頭が熱くなる。
「分かった。……絶対に最後まで持って行く」
「ありがとう。それと、聖歌のお題の送信者なのだけど」
「送信者?」
さっきそんなこと言ってたっけ……と思いながら、私は聖歌のスマホの画面を見る。
お題の送り主は、『遘√?谿コ縺励◆』と表示されていた。
「……私と同じかも」
「嘘……私は違うわ」



