初めまして。

私の名前は魁菖蒲《さきがけ あやめ》。

私立絆香高等学園《しりつみもざこうとうがくえん》の2年生、齢16です。

この学校は全国トップクラスの学力を誇り、また多彩な分野でも名を馳せています。
全寮制で、学園内での生活及び素行などは親にも、そして外部にも漏れることがありません。

クラスは学年の総合順位で割り振られます。
上からS、A、B、C、D、Eです。

全学年総合順位の上位5名は生徒会役員で色の付いたバッチ、全学年総合首席者は金の飾緒も付けます。

細かく説明すると、
生徒会長 首席  金のバッチと金の飾緒
副会長  二位  銀のバッチ
書記、会計、庶務 三〜五位   銅のバッチ
                 という形です。

彼らは授業免除、食堂の食事無料、男女別普通寮ではなく特別寮に所属など数多の優遇がされます。

ちなみに私も生徒会役員なんですよ?

学年総合2位で生徒会副会長を務めています。

いつも1点差で全学年総合首席者にはなれていません。

全学年総合首席者になると、学園代表として制限されることもあるのである意味なれなくて安心しているところです。

生徒会室はとても豪華ですし、食堂には生徒会役員専用の部屋があります。

個室もありますし、5人揃って食べられる部屋もあります。

生徒会役員専用の場所は先生すら立ち入らない領域なのですよ?

生徒会専用寮はリビングのみ共用です。

水回りが自室にあるのはとてもありがたいですね。

なので自室以外、つまりリビングには行きません。

基本授業は受けないので、皆さんが授業を受けている間、私は自室で勉強しています。

まぁ、以上の事柄からお気づきだとは思いますが、基本的に自分は生徒会室と自室、食堂を往復しているようなものです。

あと補足なのですが、生徒会室、食堂の個室・大部屋、自室リビングは全て特殊な通路で繋がっています。

食堂で料理を頼む際もスマホなので最低限の人としか関わりませんね。

なので、一般生徒と顔を合わせるのは朝会の時だけですし、生徒会役員の皆さんとも生徒会室のみです。

あまり他の生徒会役員と関わらないのは馴染めていないのもありますが、私の知らない絆のようなものがあるような気がするのですよ。

なので、ぼっち生活を送っています。

気楽でいいですよ?

そろそろ生徒会室に行く時間ですね。

ガチャ コツコツコツ ガチャ

『こんにちは』

「こんにちは(こんにちは〜・あぁ・グー)」

この、個性豊かな挨拶をしてくれた方々を紹介しますね。

「こんにちは」: 生徒会長の向日葵《むこう あおい》
敬語、穏やか、眼鏡男子 美青年

「こんにちは〜」: 会計の佐田草《さだ そう》
あざとい、可愛い、美少年

「あぁ、、」: 書記の鬱金香《うこん かおる》
     無口、不器用、美青年
      

「グー、、、」: 庶務の木春菊《こはる きく》
        睡眠命、マイペース、美少年

最後の美少年、美青年という言い方をしたのはパッと見た時の容姿の印象によって表現を変えています。

ですが、全員私と同じ学年です。

誕生日の差で齢17の人もいますがね。

去年からずっとこのメンバーなのですが、関係に変化があったことは一度もはありませんね。

「会長、今日予定されていた会議が明日の同時刻からに変更になったとの報告がありました。」

「そうですか。わかりました。ありがとうございますニコッ」

「いえ」

「では、私たちはひと足先に帰りますね。何かあったら、遠慮なく電話して下さい。すぐ駆けつけますからニコッ」

「承知しました。お疲れ様ですニコッ」

「では、行きますよ!」

「は〜い!(あぁ・ん、、、)」

パタン

「さて、やりましょうか」

カタカタカタカタ

「フー、やっと片付きました」

仕事を始めてから、もう4時間程経過しました。

学園は生徒主体を掲げているので、生徒会の請け負う仕事の量が以上なのです。

プルルルルプルルルル

ッッ、、、 怖い、、、

「ビッ もしもし魁です」

「魁家の名に恥じぬ行動をしれいますよね。」

「お久しぶりです、お母様。えぇ、勿論です。」

「今度、木蔦の生誕パーティーがあります。今までは社交界に出なくとも何も言いませんでしたが、それもここまでです。服はこちらで用意しておくので、必ず参加なさい。」

「、、、承知しました。」

「家訓を忘れず、魁家の名に恥じぬように ブチッ」

ツーツーツー

あぁ、、、心が死んでゆく、、、絶望する

この世界から消えてしまいたい、、、

私の生まれていた意味は何?

一度たりとも名前を呼んでもらったことがない。

木蔦と私、何が違う?

それこそ、血反吐を吐く思いで努力してきた。

ただ褒められたかった、認めてほしかった、親の温もりを感じてみたかった。

ただ、それだけだったのに、、、

寒い、痛い、悲しい、哀しいよ、、、

ダッ 洗面台に駆け込んだ。

いつも常備しているカッターナイフで一筋、手首を切る。

そこから流れ出る血にほんの少し安心する、自分の精神を安定させる。

ポロッ 一筋の涙が頬を伝った。

どれだけ必死に自分を保ったところで、自分の限界は近いのだと頭の片隅で思う。

そんな姿を見ている人影にも気付かずに、、、。