歩き始めてから20分程経っただろうか。

「優花、もうすぐ着くからね」


大通りの狭い小道に入れば
またその先にも数々の曲がり角があり…
まるで迷路のように色んな角を曲がっていく。


「…1人で来たら迷っちゃいますね」


辺りを見渡しながら何気なく口にすれば

「優花は絶対1人でここに来たらダメだからね。
行きも帰りも俺が絶対に送るから」

…とてつもなく真剣な声色で言われた。


確かに薄暗いし、1人で来るには危険な場所…。
そう思いながら高坂君に手を引かれて歩いていると

「着いたよ」

黒い重厚感のある扉の前で止まった高坂君は
電子キーを取り出してロックを解除すると

「じゃあ…入ろうか」

そう言われ、中に一緒に入った。