ちゃんと目を見て。上辺だけで言っていないと伝えたかった。
それが伝わったのか、少しだけ口角を上げてくれて、〝私もだ。柚葉は大事な私の想い人だ〟と小さく声が聞こえる。
そして徐(おもむろ)に着流しの袂とゴソゴソと探ると、袂から出てきたのはシロツメクサだった。
枝は真ん中ほどで折れ曲がり、花びらは所々ちぎれている。
袂に入れて歩き回っていたせいで、ぐちゃぐちゃになっていたが、いつか荘司さんからもらったことを思い出して、ほっこりした。
「シロツメクサ…。私の好きな花です。ありがとうございます」
「柚葉、私はお前を愛している。こんな姿だが、誰にも柚葉への愛の大きさは負けないと、胸を張って言える。…私を、受け入れてもらえるだろうか」
そんなの、とうの昔に受け入れている。荘司さんは月城家の立派な一員で、私の愛する旦那様。
返事を強張った表情で待つ荘司さんが可愛くて、言葉で答える代わりに、荘司さんからされるはずだったキスを、傷のある頬にした。
「はい、もちろんです。…おかえりなさい。よくご無事で帰ってきてくださいました」



