だから荘司さんは、二日も帰って来れなかったんだ。
明後日、荘司さんが帰ってきたら、労わってあげたい。
栄養のあるご飯と、寛げる空間。寄り添える信頼をもって、待っていたい。
我に返って、黙って置いてきた両親を思い出し、急いで来た道を戻った。
家に戻ると、すっかり日は昇っており、時間に特に厳しいお父様に何を言われるか怯えていたが、両親は何食わぬ顔で畑の草むしりをしている。
厚かましいことではあるが、私を探そうと心配している風にも見えない。
それに、帰ってきた私の姿を見ると、
「おう。どうだった」
なんて、呑気に聞いてくる。
「どうだったと言いますと…?もしかして、お二人とも気づいておられたのですか?」
荘司さんを追いかける前にかけた言葉に対する返事といい、今の反応といい、変に無関心で気になる。
薄い反応をしたということは、知っているということ?
まさかとは思ったが、当てずっぽうで言ってみると、頷く二人。
「夜に出て行くし、帰ってきたら酷い有り様だ。母さんと怪しいと話してはいたんだが…」
「狼人間の言い伝えが本当なのは知っていたし、佃家は代々続く人狼家系なのよ」
「知ってたなら、何で言ってくれなかったの!?」
畑の土が泥濘(ぬかる)んでいたのも気づかず、食い気味に両親を問い詰めようと一歩踏み出して、泥に向かって一直線に転けてしまった。
お父様に支えてもらって、どうにか立ち上がる。



