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荘司さんの無事を二日祈り、おかげで畑仕事にも力が入らず、夕方の納入は両親に行ってもらった。
必ず帰ってくるとは言われたけど、道中怪我をされていないか。本当に水と食糧はいらなかったのか。
気になって何度も見えない神様に、無事に帰ってきますようにと願った。
囲炉裏の温もりを浴びながら編み物をしていると、宣言通り、次の日の夜に荘司さんは突然帰ってきた。
「おかえりなさいませ…!お顔に傷が…」
荘司さんの顔には傷が増えていた。髪もボサボサで、初めて家に来た時のようなお淑(しと)やかさがまるでなかったかのように、肩で荒く呼吸をしている。
話しかけても、何も聞かないでくれの一点張り。
「傷の手当てをしましょう」
「あぁ、ありがとう」
「荘司くん、その前にお風呂に入ると良い」
お父様の一声で私とお母様は、慌ただしくお風呂の準備、救急箱の準備を始めた。
根は良い人だから、きっと聞かれたくない何かがあるだけで、そっとしておいたらいつか話してくれる。
「荘司さん、何があったのかしらね」
「うん…。でも聞かない方が良さそう。話したくなるまで、私は待ちます」
「…柚葉が言うなら、私もそうしよう。私が先に聞いちゃったら、柚葉の妻としての役目がなくなっちゃうわね」
「そういうわけじゃないけど。てか何それ。妻としての役目は、もっとあるから」



