この容姿で、縁談が進まないのは不思議だ。
お父様よりも背が高く、すらっとした骨格。お顔は切れ長の目で鼻は高く、この方は美しい部類に十分属せる。
でも中途半端な整いをした髪の毛、衣も若干乱れているし、清潔とはいえないかもしれない。
結婚間近の話し合いで身だしなみを気にしない人は、女性側が好まないというわけか。
「あなたは、柚葉さんと言いましたね」
「はい。月城柚葉と申します。よろしくお願いいたします」
笑顔もなく、愛想というものをこの方からは感じない。
縁談を何度もしているというなら、歳も私よりだいぶ上かな。
お父様から歳は聞いていないし、気にすることないと思っていたけど、知らないことは知りたくなる。
「この家は代々、上流階級に献上する食材を作っているんだけど、荘司くんがこの家に来てくれるとなれば、早速その次の世代までの心づもりをしておいてほしい」
「ちょっとお父様!そこまで言わなくても」
まだ正式な結婚は決まっていないのに、子どもの話をするなんて、恥ずかしい。



