なんて事を話してくれているんだ。
掘り起こしてほしくない話だし、ましてやそれを荘司さんにするなんて。
あれは、弱い者いじめをするやつが許せなかっただけ。助けてと言えなかった女の子の気持ちが分かるから。私もそうだった。
女は学校には行かず、家で畑仕事でもしておけ。どうせ女はここに来ても、邪魔になるだけだ。
そう言われて、何度石を投げられたことか。
先生にも見て見ぬふりをされた。その辛さが分かるから、同じような立場の子は助けたい。
「それは勇敢だな。同じ経験をしているものにしか分からない辛さが、手を差し伸べるきっかけになる。それが本当の強さというものだ」
さらっと言いのけた荘司さんの言葉に、驚きと感動が同時に押し寄せてきた。
〝勇敢だね〟
大抵の人はここで言葉が終わる。
困っている人を助けて偉い。それしか言われず、私としては〝弱いものに手を差し伸べて、良い人気取り〟としか聞こえない。
そうじゃないから、腹立たしい。
でも荘司さんは違った。
私の過去の話はしていないのに、傷ついた人こそ強いと、まるで荘司さんも同じ道を通ってきたかのような口ぶり。



