「美味しいよ。特に味噌汁が美味い」
「ありがとうございます」
美味しいと言ってもらえるのは嬉しいけど、あまりにも何度も褒められるから、ついに恥ずかしくなってきて、私からごろっと話題を変えてみた。
「荘司さん。畑では、お疲れになりませんでしたか?」
丁度大根を頬張られていた時で、煮汁とともにゴクッと喉が鳴る。
「初めてだったが、大変興味深かった。体を使うことは慣れているが、形の良いものだけを選別できる目を肥やす必要があると分かったよ」
「納めている先の人は私たちも知らないんですけど、上流階級の方たちとだけは、聞いています」
「大変な仕事だな」
「はい。あの、両親とは…、どんなお話を?」
単なる話題作りではあったけど、両親が荘司さんに余計なことを話していないか、気にもなっていた。
私が荘司さんの顔の傷を気にしたのと同じように、お母様も気にされていたから、直接聞いていないだろうかと気がかり。
でもそれを荘司さんに、〝母が余計なこと、言いませんでしたか?〟とは聞けるはずもない。
それでは勘づかれてしまって、気分を害される。
「柚葉の小さい頃の話をしてもらった。男の子三人を一気に突き飛ばして、いじめられていた女の子を助けたことがあるとか。本当なのか?」
「それは…。本当、です」



