【改訂版】満月の誘惑




もう太陽は寝床に入りそうで、外は暗くなりかけてきた頃、まだかと玄関でウロウロと待っていると、賑やかな会話をしながら三人が帰ってきた。




両親は手ぶらで、荘司さんが背中に野菜を背負い、両手には卵と山菜を抱えている。

両親との会話に笑ってはいるが、重そうに手が震えているのが分かる。




「あ、荘司さん…!重い荷物、大変でしょう。お持ちします」


「これくらい大丈夫だ。それに女子(おなご)には重すぎる」


「ですが…。お父様、持ってあげてくださいよ」


「荘司くんが持ってくれると言うから、甘えたまでだ」




お父様の言葉に反論しようとしたけど、重そうに持っていたことなど言えば、荘司さんが恥をかく。


気遣って下さったんだから、立てなければ。




「…ありがとうございます。卵、もらいますね。あとは、小上がりに置いていただけますか?」


「あぁ」




この卵は、明日の朝ごはんに卵焼きにでもしよう。

卵は高級品とされていて、栄養価が高い分朝に食べると、仕事に力が入る。




「さぁ、ご飯の準備ができてますから。食べましょう」


「柚葉、お母さん言ったわよね。荘司さんと二人で食べなさいって」