【改訂版】満月の誘惑





「シロツメクサ…?」


「これは、そういうものなのか。柚葉にぴったりだと思って、摘ませてもらった。野菜じゃなくて、申し訳ない」


「いえ!…嬉しいです。荘司さんからお花をいただけるなんて。ありがとうございます」


「うん。じゃあもう少し外に居る」


「はい。お気をつけて…」





私がかけた声を無視する勢いで、また外に出ていった荘司さん。


耳がほんのりと赤いように感じたのは、私の勘違いでしょうか。そして、まさかこんな綺麗な花をいただけるなんて。



シロツメクサの花言葉は〝私を思って〟、〝幸運〟。


小さい頃から花言葉に興味があり、男性からはこういう花をもらいたいなど、学校で友人と恋の話をしていたのを思い出した。



荘司さんは、この意味を知って私にこの花を送ってくださったのかな。

でも、シロツメクサの名前も知らなかったし、きっとたまたまだろう。



そう思っても、男性から花をもらうこと自体初めての私は、シロツメクサの花言葉をもう一度思い出して、もらったシロツメクサを抱きしめて一人喜んだ。