【改訂版】満月の誘惑




荘司さんが月城家に来られて、次の日。


両親が朝から、家の中と畑を案内すると言い出し、荘司さんも〝是非〟と言ってくださったので、私は家の用事をすることに。




「荘司さん、もしかしたらご実家で虐げられてたとかじゃないかしら?」


「それなら、ろくに栄養も取れてないかもな。畑の野菜を一緒に取って、それで美味しい飯でも食わせてやろう」



昨日、荘司さんが先に寝床に入られた後、母屋に顔を出すと、両親は荘司さんを案じていた。


話が膨らみすぎではないかと思ったけど、顔の傷も誰かに手を出されたと考えると、辻褄が合ってくる。

実家で虐げられて過ごしていましたなんて、男の人なら尚更言えないし。




「そうしましょう。私もそれが良いと思う。家のことも知ってもらえるし」


「じゃあ柚葉は、荘司さんに栄養たっぷりのご飯を作ってあげなさい」



…ということになり、両親と荘司さんが外に居る間、離れに生活に必要なものを全て運び入れ、夜ご飯に玄米を炊いてお味噌汁を作り、一昨日畑で取った大根で煮物を作った。



荘司さんのお口に合うかな。薄味が好みかな。


誰かのことを考えながら作るのは、楽しい。