【改訂版】満月の誘惑





「帰り際に母が言った、〝孫〟のことだが…」


「あ、…はい」


「気にしないで欲しい。もし柚葉が子をすぐに欲しいのなら別の話だが、俺は急がなくても良いと思う」




やはり聞こえていたみたい。


お義母様に耳元で言われただけで、荘司さんにまでは届いていないと思っていた。

その後の荘司さんの行動で、まさかとは思ったけど。




「ありがとうございます。すぐに欲しいと言われると、正直分かりません。でも荘司さんとゆっくり一緒の時間を過ごせたらと思っています」


「うん。では、そうしよう」




お優しい方だ。

私のペースを尊重してくださるなんて。



荘司さんの予想される年齢から、子を急いでもおかしくないはず。


お義母様からも初日に孫の話が出たし、初潮は三年前に来ていて、体の準備もできている。


お義母様の、早く見たいという気持ちも察したい。



でも荘司さんが、急がなくて良いと言ってくださった以上、それに甘えようと思う。


いつか、お互いに子を持ちたいと素直に思える日が来るまで。