「──なんやバテとるんやないのっイチ!」
「どこ見て言ってんの、バカ夏」
校舎の時計を見れば、乱闘が始まって三十分程が経っていた。イヤホンからもすぐそばからも声が届いてくる。
でも、さすがにこれだけの人数をたった四人で相手してるんだから、いくら個々が強いとしても息が上がらないわけがない。
それに残りが少ないとは言え、少しずつ動きが鈍くなってくる頃だし……
わたしたちのもとへやってくるのは、体力Maxなわけで。
より深く、急所にいれていかないと起きる可能性がある。今のところ、うまく入ってるけど。
一つ、非常に気になっていることがある。
……枠内に沢山倒れている不良くんたちがいて、動き辛いってこと。
そのせいで、わたしだけじゃなく三人も鈍くなってる気がするから。
一旦退かせながらやるしかないかな。
【蓮佳先輩聞こえる?】
──紫音くんだっ。
「聞こえるよ」
【僕が足元片すから、もっと前線に来て。バカ兄貴たちも隙が出来てきてる】
「……分かった」
バカ兄貴たちなんて言われて、会話が聞こえてるはずの夏音くんも壱弥くんからも何の返答もない。うるさい、とかいつもなら言うのに。
足元にも注意してるから集中してるんだと思うけど……わたしも三人に並ぼう。
──紫音くんが枠外に不良くんたちを放っているのを横目に、走りながらも避けては急所狙いを繰り返し、前線へ。
そのままの勢いで、回し蹴りをして数人をなぎ払った。
【レンレンやるぅー】
ふわっとした静空くんの声に力が抜けそうになるけど、だめだめ。そんなこと──
「……壱弥くん四時の方向二人来てるっ!」
「っ!」
前方の相手を倒したばかりの壱弥くんは肩ごしに後ろを見るも体勢が崩れていた。でも──
「こっちが反応出来んねん!」
射程の長い夏音くんの足が相手を吹き飛ばした。



