探偵男子たちが強すぎる

休むつもりがバタバタと小走りでついたのは──

「なんや、虫のおもちゃ売場やないの。レンちゃん女の子なんやから、苦手とちゃう?」

「うーん、まぁそうだけど……おもちゃって分かってるから平気だよ。動かないんだしね」

「なら良かった。……にしてもこのおもちゃよう出来とるな?ちっこい時は虫取りしたし懐かしいわ」
「見て兄貴、サイズとかも本物みたい。リアルすぎてちょっと怖いくらいだけど」

夏音くんはカブトムシみたいなものを手に取り、紫音くんはディスプレイされている虫をまじまじと見つめている。
わたしは、見るだけで十分だけど……

「虫取りって、何捕まえてたの?」
「そうだなぁ、クワガタが一番多かったかもしれないですね」
「せや。ウチと紫音で結構捕まえてたな。なぁイチは……あれ、イチ?」

そういえばこのコーナーに来て、壱弥くんの声を一回も聞いてないような?
黙ったまま後ろにいる壱弥くんに、わたしたちは振り返った。

「え……壱弥先輩なんか青ざめてません?」
「もしかして虫苦手なん?」
「はっ!?……別に。苦手じゃないし青ざめてもないけど?」

……この感じ、ちょっと怪しいかも。壱弥くんが珍しく同様したように見えたから。

「じゃあこういうのは?」

壱弥くんの顔の前に、ムカデのような細長い虫のおもちゃを紫音くんは掴み見せる。

「っう……!?」

虫を見た途端、目をつむって後ずさる壱弥くんに黒相兄弟は笑みを浮かべた。

『へぇ……』

この笑い方は何か企んでる。しかも兄弟で。

「ありゃーイッチー……黒相兄弟に弱みをにぎられちゃったーどんまい」

静空くんいつの間に……もう回復したってことかな。

「は!全然?にぎられてないし……苦手なものとかな──」