「……あ、ついでにワンちゃん探し」
ポケットにしまった写真を再度確認。
首輪や模様、だいたいの大きさを頭に入れて、また写真をしまう。
人とぶつからないよう気をつけながら、目だけを動かしていくも……散歩してる犬はいるんだけどなぁ。そう簡単には見つからない。
短い時間で見つかるか、長期になってしまうのか。
近所のおばあちゃんって言ってたから、もし見つかったら報酬は和菓子かな。どら焼きとか、団子あたりの──
「……っ!」
なんて、報酬の予想をしていれば……一、二、三人。
わたしの後ろを付けて来ているのが分かった。
でもこれは怖がる必要性ゼロ。
なぜならば、三人ともお父さんの事務所で働いている人たちだから。
「はぁ……」
信号が赤になり、わたしは足を止め大きく息を吐いた。
何か心配なことがあると、お父さんはわたしにこうして尾行をつけることを知っている。
小さい時からそう。遊びに行く時、少し遠出をする時、一人で出かける時も……過保護というのかな。
だからなんだろう、わたしは危機察知……というより一定の範囲内なら普通に人と敵意のある人の感知が出来るようになってしまった。



