最強パティシエは、幼なじみに恋をする



あれから数年が経ち、私たちは高校2年生になった。


湊斗と私は相変わらず、放課後には彼の家のケーキ屋さんに顔を出している。


甘く香ばしい匂いが漂う工房で、新しいお菓子のアイデアを出し合ったり、時には二人で試作品作りに没頭したり。


未来のパティスリーについて湊斗と語り合う時間は何よりも大切で、気づけば時が経つのも忘れるほどだった。



高校生になった今、私の怪力は、もう誰にも隠す必要のない、とっておきの「個性」として、学校中のみんなに知られるようになっていた。



ある日の放課後。


私は美術室で、巨大な石膏像を運ぶのに苦戦している美術部員たちを見かけた。


彼らは汗を流しながら、何人かで像を動かそうとしていたけど、びくともしない。


「あっ。月森さん、ごめん! これ、全然動かなくて!」


美術部員の一人が、困り果てた顔で私に助けを求めた。


「分かった。任せて!」


私は微笑むと、片手でひょいと石膏像を持ち上げ、彼らが指定した場所へと運んでみせる。