最強パティシエは、幼なじみに恋をする



先生は心配そうに声をかけてくれたけれど、私は笑顔で応えた。


「いえ、やらせてください!」


そして、片手でひょいっと重い鉄板を持ち上げると、カチリと音を立てて正確にオーブンにセットした。


「うわあ、お姉ちゃんすごい!」

「見て見て、片手で持ったよ!」


子どもたちは目を丸くして歓声を上げ、パチパチと手を叩いた。


保護者の方々も驚きながらも皆、温かい拍手を送ってくれた。


「月森さん、ありがとう! 助かったわ!」


先生をはじめ、周りから感謝の言葉が口々に私に伝えられる。


少し離れた場所から、湊斗がそんな私の姿を、どこか誇らしげな優しい眼差しで見守っていた。


隣の七海は、満面の笑顔で「しずく、かっこいい!」と、誰よりも大きな声で私を褒めてくれた。


自分の力が、みんなの笑顔に繋がる。


そのことを実感したとき、私の心に最高の喜びが満ちていくのを感じた。


それは、幼い頃に家族が私が作ったお菓子を食べて喜んでくれたときの、あの温かい喜びと全く同じものだった。


私の怪力も、そしてお菓子作りのときに発揮される、高速作業能力も、もう誰にも隠す必要のない、胸を張れる『個性』になっていたんだ。