冬休みに入る少し前。学校では「地域の子どもたちを招いて、クリスマススイーツ教室を開こう」という企画が持ち上がった。
学校の家庭科室が会場となるのだけど、家庭科部の生徒だけでは人手が足りず、他の生徒にも助っ人を募集していた。
「私……これ、やってみたいな」
お菓子作りが大好きな私は、自分の怪力を隠す必要がなくなった今なら、きっとみんなの役に立てるはずだと迷わず手を挙げ、積極的に参加することにした。
七海も「楽しそうだね! わたしも手伝うよ!」と一緒に助っ人として参加してくれることになり、さらに心強かった。
そして、クリスマススイーツ教室当日。
クリスマスの飾りつけがされた家庭科室は、いつもよりずっと賑やかだ。
真っ赤なテーブルクロスの上には、サンタさんの絵が描かれた紙皿や、雪だるまの形をしたクッキーの型が並べられている。
「こんにちはー!」
幼稚園や小学校低学年の小さな子たちが、カラフルなエプロンをきゅっと結んで、目をキラキラさせて教室に集まってくる。
オーブンからは甘い香りがすでに漂っていて、子どもたちのワクワクが伝わってくるようだった。
しばらくすると、入口のドアから湊斗がひょっこりと顔を出した。
どうやら、私の様子を見に来てくれたらしい。
彼は、邪魔にならないように教室の隅で、そっと私たちを見守ってくれていた。



